『大阪は踊る!』(おおさかはおどる)は、前田耕陽が出演した舞台作品。松竹創業130周年を記念して2025年10月に大阪松竹座で上演された。原作は高遠響による同名小説を初めて舞台化した作品であり、脚本は江頭美智留、演出は川浪ナミヲが手掛けた笑劇エンタメ・ファンタジーである。


松竹創業130周年記念事業の一環として企画された本作は、道頓堀に突然石油が湧くという奇想天外な設定から始まる喜劇作品である。大阪市役所の雑用処理係「どないしょう課」に勤務する前田拓郎を中心に、大阪人特有のエネルギーと諧謔性を描き出す。個性豊かなキャラクターたちが織りなす物語を通じて、大阪の街そのものがクライマックスを迎えるまでの攻防戦を展開する。
大阪松竹座の位置する道頓堀からエネルギー全開で繰り広げられる本作は、松竹座の歴史における重要な節目の作品として位置付けられている。
あらすじ
大阪ミナミの道頓堀に、ある日突然、石油が湧き出した。この奇想天外な出来事に大張り切りの大阪市長は、「道頓堀油田開発計画」による大阪再生プロジェクトを始動させる。
市役所の雑用処理係「どないしょう課」に勤務し、それまでのほほんと生きていた前田拓郎は、気が付けば当該事業の担当者となり、右往左往の東奔西走を強いられる。
商店街では次々と便乗商品が発売され、街中がお祭り騒ぎに包まれる。しかし、そこへ巨大利権を大阪だけに保有させたくない政府による油田差し押さえ計画が勃発。真実を探ろうとする美人リポーター、拓郎の上司、立ち上がる道頓堀商店街の人々たち。協力者がひとり、またひとりと増える中、やがて大阪は一丸となって自衛隊との攻防戦を繰り広げることになる。
守るべきは油田か、それとも大阪人の誇りか——道頓堀はクライマックスを迎える。
前田耕陽の出演

前田耕陽が演じるのは、内閣総理大臣・村井賢二郎役である。標準語による渋い演技でこのポジションを担った前田は、本作が大阪松竹座への初出演であった。
本作出演について、前田は「出たかったのに機会がなくて、やっと」と念願の松竹座初出演を語った。大阪に来て20年の経験と、標準語での演技能力を活かして、村井総理大臣という役柄を「皆さんに好かれる総理大臣」として演じることに意識を向けた。
演出の川浪ナミヲからは、「標準語で渋い演技ができてカッコよく締められて、しかも大阪のことを知ってる人」とのコメントが寄せられ、前田の大阪への深い理解と演技の質が認識されている。
本作『大阪は踊る!』での総理大臣役は、前田の長年にわたる大阪生活の経験と、数々の舞台作品での実績を背景に、標準語による落ち着いた演技で人物を造形したものである。前田自身「大阪に来て最初は飲み屋でのおじさんたちの会話が怖かった」と、大阪への適応過程を振り返りながらも、20年の生活を通じて大阪の本質を深く理解していることが、演技の質に反映されている。
本作は2025年10月4日から12日にかけて、大阪松竹座で上演された。千秋楽を迎えた10月12日放送のハートFMのラジオ番組「日曜の午後は耕陽を聴こうよー!」では、前田耕陽自身が舞台を振り返るコメントを述べ、「口が疲れているんですよ、もう、舞台で喋り倒してね」と、役柄の総理大臣として専門用語を多用する演技の充実度を明かした。

舞台終了後、前田は所属するロックバンド「Rockon Social Club」のZeppツアーへ活動の軸足を移すこととなった。
公演情報
- 原作:高遠響
- 脚本:江頭美智留
- 演出:川浪ナミヲ
- 会場:大阪松竹座
- 公演期間:2025年10月4日~12日
本作は2025年10月4日から10月12日にかけて大阪松竹座で上演された。公演は昼の部と夜の部の2部制で、昼の部は午前11時、夜の部は午後3時30分の開演だった。
キャスト&スタッフ
- 浜中文一 – 前田拓郎役(主演)
- 竹下健人 – 篠原匠役(大阪市長秘書)
- 堀くるみ – 山本華子役(拓郎の同僚)
- 長江健次 – 広瀬康夫役(拓郎の上司)
- 曽我廼家寛太郎 – 館山修役(大阪市長)
- 海原はるか – 柳田浩介役(道頓堀商店街組合会長)
- 春やすこ – 小路やすえ役
- 真丸 – 高山隆平役(乾物屋の二代目)
- 有沙瞳 – 麻生直美役(テレビリポーター)
- 松本梨香 – 河本渉役(イケメン評論家)
- 前田耕陽 – 村井賢二郎役(内閣総理大臣)
- 大鳥れい – 藤木玲子役(内閣官房長官)




