シス・カンパニー公演/紀伊国屋書店提携「夜の来訪者」

夜の来訪者』(よるのらいほうしゃ)は、岡本健一段田安則が出演した舞台作品。J・B・プリーストリーの同名戯曲の翻案で、シス・カンパニーと紀伊国屋書店の提携公演として2009年に上演された。演出は段田安則が初めて手がけた作品である。

この舞台は、岡本と段田の人生において重要な転機となり、舞台での共演をきっかけに岡本がギターを段田に教え、二人がフォークデュオを結成するという後年の音楽活動へとつながった。さらに2025年には、岡本が所属するバンド「Rockon Social Club」が段田とのコラボレーション曲「B・A・N」をリリースするなど、舞台での出会いが長きにわたる芸術的交流を生み出している。

本作はイギリスの劇作家J・B・プリーストリーの戯曲「An Inspector Calls」の日本語翻案作品である。原題の直訳は「警部の来訪」であるが、日本での翻訳は内村直也が担当し、『夜の来訪者』と題された。

舞台の舞台装置は、裕福な実業家の屋敷に設定されている。話の中心は、ある晩の一家団欒のシーンから始まる。娘の婚約を祝う食事会の後、一人の刑事を名乗る男が訪ねてきて、その夜に起きた貧しい娘の自殺事件について話を進める。刑事は家族の一人一人に対して、その自殺した女性の死に各自がどのように関わっていたかを暴いていく。

本作は単なるミステリーではなく、富の格差、人間の思いやりや想像力の欠如、そして人間は一人では生きていけないという普遍的なテーマを扱っている。

舞台化と演出

シス・カンパニーがプロデュースした本公演は、段田安則の初めての演出作品である。段田安則は出演と演出の両立に臨み、自身が演じる「警官」役の登場によって、舞台の緊張感を高める重要な役割を担った。段田の演出判断により、「ひと癖もふた癖もある一家」と警官との対比が立体的に際立つ舞台空間が創出された。

演出を手がけるにあたって、段田は作品の人間心理に深くアプローチし、最高のエンターテインメントとしての舞台を目指したとされている。

あらすじ

舞台は、1970年代初頭の日本の地方都市にある、ある成り上がりの資産家の屋敷に設定されている。

娘の婚約を祝う一家団欒の食事会のさなか、刑事を名乗る一人の男が訪ねてきた。その男は今夜、貧しい一人の女性が自殺したことを告げ、その死がこの一家の各メンバーと深く関わっていたことを、次々と暴いていく。

物語の構成は、家族の一人一人が自分たちの行動が女性の死にいかに影響したかを明かされていく過程そのものである。本作は「ひとりのヤマダヨシコは死んだが何千何万のヤマダヨシコは生きている。……ひとはひとりでは生きていけない。」という台詞に凝縮された人間の相互依存性と社会的責任を問う作品である。

キャスト

  • 岡本健一
    本作への出演を機に、演出家であり共演者でもある段田安則との間に公私にわたる交流が生まれた。特に音楽面での繋がりは深く、後に二人のコラボレーションへと発展するきっかけとなった。
  • 段田安則
    本公演の演出を担当。舞台上での存在感によって作品全体の緊張感を支配する中心的役割を果たす。
  • 坂井真紀
  • 八嶋智人
  • 渡辺えり

ほか

上演日程

  • 期間: 2月14日 – 3月15日
  • 会場: 東京・紀伊國屋ホール

スタッフ

  • 脚本: J・B・プリーストリー
  • 演出: 段田安則

岡本健一と段田安則の音楽交流

本作での共演は、岡本健一と段田安則の間に俳優という関係性を超えた、音楽を通じた特別な繋がりを生み出す原点となった。

フォークデュオの結成

本作の公演後、段田が岡本にギターを習いたいと申し出たことをきっかけに、二人の音楽交流が始まった。岡本は、当時を振り返り「16年前にアコースティックのフォークデュオみたいなのを2人でやっていた」と語っている。

二人は歌本を時を経て2025年、岡本が所属するロックバンド「Rockon Social Club」が、様々なジャンルの一流の“SHOW MAN”をゲストに迎えるコラボレーションアルバム『THE SHOW MAN』を企画。このアルバムに、俳優として活躍する段田安則がゲストアーティストの一人として参加することになった。この共演は、「夜の来訪者」から始まった約16年来の二人の音楽交流が結実した形となった。

コラボレーション楽曲「B・A・N」

アルバムで発表されたコラボレーション楽曲は「B・A・N」と題され、終活をテーマにした楽曲である。

「B・A・N」は終活をテーマにした楽曲であり、段田にとっては音楽番組への初出演となった。2025年11月13日に放送されたNHK『SONGS』では、段田安則とRockon Social Clubが「B・A・N」をテレビ初披露した。

岡本のインタビューでは、段田について「もう俳優の中でも本当にレジェンドなんで、かつ声がいいんですよ。低い、こう響く。」とコメントしており、舞台での出会いから16年以上の時を経ても、二人の音楽的な関係が継続していることが示されている。


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