名古屋のコミュニティFM局、Heart FMから毎週日曜の夕方に届けられる『日曜の午後は耕陽を聴こうよー!』。パーソナリティを務める前田耕陽が、リスナーからのメッセージにユーモアと真心を込めて応えるこの番組は、ファンにとって週末の楽しみの一つだ。今回の放送でも、MISIAとの紅白共演の裏話から、自身の会社解散という衝撃の告白、そして深刻化する社会問題への真摯な眼差しまで、彼の飾らない人柄が垣間見えるトークが繰り広げられた。

前田耕陽、オープニングからタジタジ? 番組の「私物化」に愛あるツッコミ
「毎週大変です。毎週喋んなきゃいけないから」と、冗談めかしたぼやきで始まった番組オープニング。すぐさま共演の雷神さんから「お仕事です。頑張ってください」とツッコミが入る、お馴染みの軽快なやり取りで幕を開けた。
和やかな雰囲気の中、雷神さんが「私的なことなんですけど」と切り出し、突如自身の友人「あきらくん」の誕生日を祝福。この予期せぬ番組の「私物化」に、前田は「完全に私物化してるじゃないですか」「あきらくんって誰すか?」とタジタジになりながらも、愛のあるツッコミで応戦した。
この「あきらくん」が、4ヶ国語を操り、何十億もの取引を手掛ける商社マンという「すごい人」だと聞かされると、前田は素直に驚きの声を上げた。さらに、そんなエリートビジネスマンが番組のヘビーユーザーであると知り、「じゃあ、あきらくんから1回メールいただきたいですね」と、新たなリスナーとの交流に期待を寄せた。
一方で、前田は「オープニング、大体4分ぐらいしか喋っちゃいけないんですよ」と番組の裏事情をポロリ。雷神さんの突然のフリートークによって、自身が用意していたトークプランが崩れてしまったことをユーモラスに嘆き、スタジオは笑いに包まれた。こうしたやり取りからも、前田と番組スタッフ、そして共演者との間の温かい信頼関係が伝わってくる。
「実はもう会社ないんです」ファンからの衝撃的な“買収提案”に前田耕陽が驚きの告白
リスナーから寄せられた「お金が有り余るほどあったら何が買いたいか」を紹介するコーナー「ヤグチ建設 presents “夢を買いたい!”」では、前田自身も予想だにしなかったメッセージが読み上げられた。
ラジオネーム「耕陽ひとすじ37年」さんからの夢、それは「耕陽くんの会社を買います」という、ファンならではの壮大かつ愛情のこもった“買収提案”だった。「耕陽くんのお仕事について回って幸せな時間を過ごしたいです」という熱いメッセージに、前田は「会社なの?会社?」と驚きを隠せない様子。しかし、すぐさま衝撃の事実を告白した。
「これ残念ながら僕、会社ないんですよね。今年1月から会社なくしまして。もう私フリーです」
今年に入り、自身の会社を整理してフリーランスとして活動していることを明かした前田。ファンからの温かい提案に応える形で、自身の近況を率直に語った。「俺買われるんだ」と戸惑いつつも、「ずっと僕と一緒にいたら、多分大っ嫌いになると思いますよ。結構わがままだし」と自虐的なコメントで笑いを誘うことも忘れない。
「37年」という長い応援の歴史にも、前田は深く感じ入った様子。計算すると自身のデビュー前からの応援であることに気づき、「長い」「17歳の時からだ」と感慨深げに呟いた。長年のファンからの変わらぬ応援に、照れくさそうにしながらも感謝の気持ちをにじませた。
続いて紹介されたのは、ラジオネーム「あいこ」さんからの「早急にリニア新幹線を完成させて名古屋に遊びに行きたい」という夢。宇都宮市在住の彼女からのメッセージを受け、前田はリニア新幹線の現状について触れつつ、自身は東京-大阪間の移動に飛行機を多用することを明かした。その理由として「伊丹空港なんで、うちからだったら20分で行けますからね」と、実用的な側面を語り、堅実な一面をのぞかせた。
ONAIR:NARITA THOMAS SIMPSON『花火と君』

リニア新幹線から人手不足問題まで、社会に切り込む前田耕陽の真摯な視点
リスナーの生き様や人生相談に耳を傾けるコーナー「岩崎建設工業 presents”私の生きる道!”」では、番組の雰囲気が一変。深刻化する社会問題について、前田が真摯に語る場面が見られた。
岐阜県のリスナーから寄せられたのは、日本の人手不足問題に関するメッセージ。働ける状況にありながら生活保護を受給している人と、人手を求める企業をマッチングできないか、という切実な提言だった。この重いテーマに対し、前田は普段の陽気なトーンから一転、落ち着いた声でメッセージを読み上げた。
「本当に人不足でね、マジで大変なんですよ」と、問題の深刻さに深く共感。「みんなどこ行っちゃったんですか?」という素朴な疑問を口にしながら、少子化や、いわゆる「3K」と呼ばれる労働環境の問題が背景にあるのではないかと分析した。
共演者との議論の中で、飲食業や建設業で外国人労働者の存在が不可欠になっている現状にも言及。「もうほぼ外国人に頼ってるんで今」と語り、この問題が一企業や一地域の問題ではなく、日本全体で取り組むべき課題であるとの認識を示した。「国を挙げてそれに取組んでいかなきゃね」という言葉には、彼の社会に対する真摯な眼差しが込められていた。
MISIAとの紅白共演秘話「僕の演奏で歌ってるのに…」キーボード担当ならではの悲哀を語る
番組後半、リスナーからの「HEART FMにMISIAを呼んでもらうことはできないでしょうか」という熱烈なリクエストをきっかけに、前田がMISIAとの貴重な共演エピソードを語り始めた。
男闘呼組として出場したNHK紅白歌合戦でMISIAと共演した際、キーボーディストである前田ならではの“悲劇”があったという。
「僕やっぱ鍵盤じゃないですか。持ってこう、うろちょろできない。だからね、すごい後ろの方でMISIA見えなかった。ターバンで見えなかったんじゃなくて、前のセットでMISIAが見えなかった」
「僕の演奏でMISIAが歌ってるわけですよ。でもMISIAは見えない」と、ステージ上でのもどかしい状況をユーモラスに告白。最高の舞台で共演しながらも、その姿を直接見ることができなかったという、キーボーディストならではの悲哀を語り、スタジオを沸かせた。
一方で、「よく喋りますよ。結構僕、あのMISIAの前でくだらないことばっかり言いますんで、いつもね、笑っていただいて」と、MISIAとの親密な関係性も明かした。ゲスト出演の実現については「仕事が絡むとね、なかなかそううまくいかないですよ」と難しさを示唆しつつも、ファンからの夢のあるリクエストに真摯に耳を傾けていた。
ONAIR:MISIA『Love never dies』
エンディングでは、社会貢献活動について告知が行われた。7月21日の祝日「海の日」に、番組スポンサーでもある江南市の就労継続支援施設「ドルフィン」にて、「子供食堂」を開催するという。
「子供は無料です。ぜひお越しください。メニューはじゃじゃ麺です」と、イベントの詳細を優しく案内。共演者から「食育ですね」と声をかけられると、「僕がそういう風に言って、そんなことないよって思ってもらいたいじゃないですか」と、あえて悪役を演じてイベントを盛り上げようとする、彼らしいサービス精神を見せた。
あっという間に過ぎた30分を惜しむように、「いつになったら1時間番組になるんですか?」と番組への愛を口にする前田。その言葉は、番組を支えるスポンサーやリスナーへの感謝の表れでもあるだろう。
最後は、ラストナンバーとして自身のアルバム『KOYO MAEDA SONG BOOK 1995-2025』から「Happy Endにするために」をセレクト。今回もリスナーとの温かい交流の中で、自身の近況や音楽活動の裏側、そして社会への想いを率直に語った前田耕陽。ユーモアと誠実さが同居する彼の魅力が詰まった放送となった。来週はどんな話が飛び出すのか、日曜の午後が待ち遠しい。
ONAIR:前田耕陽『Happy Endにするために』