『THE FRONT / 目で見ちゃだめさ』(ザ・フロント / めでみちゃだめさ)は、男闘呼組の9枚目のシングル。1992年8月5日にBMGビクターから発売された。

THE FRONT/目で見ちゃだめさ(シングル)
アーティスト:男闘呼組
発売日:1992年8月5日
形態:8cmCD・CT(カセット)
品番:CD:BVDR-116・CT:BVSR-116
レーベル:BMGビクター
本作は男闘呼組が1992年にリリースしたシングル三部作の最終章にあたる。先行する2作品である「眠りにつく前に」(1992年6月3日発売)と「THURSDAY MORNING」(1992年7月1日発売)の完結編として位置づけられており、それぞれのシングルは対応するアルバム「5-1…非現実…」「5-2…再認識…」「5-3…無現実…」と連動してリリースされた。
成田昭次の当時のスタンスを反映し、表題曲「THE FRONT」は成田昭次が作曲のみを担当した楽曲であり、これは本作が唯一である。作詞は小竹正人が手がけた。
収録曲
音楽性・歌詞分析・制作
表題曲「THE FRONT」は、男闘呼組の楽曲の中でも特異な位置を占める作品である。都市的な情景を背景とした重厚なロックサウンドが特徴で、田中厚による編曲とバンドのアレンジが融合したサウンドプロダクションが印象的である。
小竹正人による歌詞は、戦場にも例えられる都市の厳しさと人間の内面的な葛藤を描いており、「How do you feel? 戦場の雨に」「What do you need? 葬られてく」といったフレーズで表現されている。これは男闘呼組の楽曲としては比較的シリアスなテーマを扱った作品といえる。
カップリング曲「目で見ちゃだめさ」は、高橋一也(現:高橋和也)が作詞・作曲を手がけた楽曲で、超自然的な体験をテーマとした独特な世界観を持つ。歌詞には「向かいの山の真ん中に 信じられない光のボールが カ・レ・ラ・は俺に語りかけた 恐れることは無い 全ては完璧さ」といった神秘的な内容が含まれている。
この楽曲の最大の特徴は、シングルバージョンとアルバムバージョンが存在することである。アルバム『5-3…無現実…』に収録されたアルバムバージョンと、本シングルに収録されたシングルバージョンでは異なるミックスが施されており、シングルバージョンは本作でのみ聴くことができる。
本作の制作時期は男闘呼組の活動後期にあたり、1993年6月30日の活動休止(実質的解散)の約10ヶ月前のリリースであった。シングル三部作として企画された一連の作品は、バンドの創作活動が最も充実していた時期の産物といえる。
編曲には従来通り田中厚が参加し、男闘呼組とのクレジットとなっている。録音には平山牧伸(ドラム)をはじめとする固定サポートメンバーが参加した。
Rockon Social Clubによるセルフカバー
2023年、男闘呼組の後身バンドRockon Social Clubが、本作収録の両楽曲をセルフカバーアルバム『2023』に新録で収録した。編曲は寺岡呼人が手がけ、歌割りも成田昭次の指定により大幅に変更された。これにより、オリジナル版から約31年を経て、新たなアレンジで両楽曲が蘇ることとなった。

