『Welcome My Room』(ウェルカム・マイ・ルーム)は、日本のシンガーソングライター、成田昭次のミニ・アルバム。2006年11月23日にインディーズレーベル Shining Entertainment. よりリリースされた (品番: SESN-001)。全6曲収録。
背景
本作の制作は、成田が2006年4月から精力的に行っていたアコースティックギター弾き語りによる「全曲新曲ライブ」の活動と深く結びついている。このライブシリーズは「Shoji の部屋へようこそ」をコンセプトとし、ギターと歌のみというシンプルな構成で「むき出しの成田」「生き様をさらけ出す」ことを目指したものであった1。小細工なしのサウンドで、言葉の一字一句の重みを伝える試みであり、成田は「出来たばかりの新曲をまっ先にみんなに聴いてもらいたかった2」と語っている。
同年6月の名古屋・大阪公演などでは、すでに本作収録曲である「PAIN」「クリスタルエンジェル」「ノーヘルライダー」「ブラックリスト」などが新曲として披露されており、成田が「蓄積された想いをすべて吐き出すかの様に」曲作りに没頭していた様子がうかがえる¹。
本作は、こうしたライブ活動の集大成として、2006年7月に東京・shibuya eggmanにて行われたライブで録音された音源を基に制作されたものである3。当時の精力的な創作活動について、成田は「とにかく曲作りは止まらないで行くよ」とも語っていた。
収録曲
作詞・作曲:成田昭次
- Pain
- Experience
- クリスタルエンジェル
- Misty
- BLACK LIST
- ノーヘル・ライダー
サウンド面では、ライブ録音ならではの臨場感と共に、成田のアコースティックギターとボーカルを主体としたシンプルな構成が特徴となっている。収録されている全6曲は、成田自身が作詞・作曲を手掛けている。
歌詞の世界観は極めてパーソナルであり、内省的なテーマが多く見られる。過去の自分への後悔とそれを乗り越えようとする強い意志を描く『Pain』、物質主義的な現代社会に疑問を投げかけ人生経験の重要性を説く『Experience』、隠していた過去や秘密が露呈する痛みを歌う『BLACK LIST』など、赤裸々な自己との対峙が描かれる。
一方で、恋愛や他者への想いを歌った楽曲も収録されている。不器用ながらも秘めた恋愛感情を描いた『Misty』。「君と出会った瞬間 羽が生えた気がしたよ」「時間を止められないのなら 奪い去るしかないんだよ」と、運命的な出会いと未来への決意を歌う『クリスタルエンジェル』。そして、「俺はいつまでも ノーヘル・ライダーのまま」「ずっと恋してるぜ どんな傷を負ったって」「きっと愛してるぜ 誰が邪魔したって 君しか見てないよ」と、社会のルールや常識に縛られず、ただ一途に相手を想い守ろうとする純粋でストレートな愛情を歌った『ノーヘル・ライダー』。
アルバム全体を通して、過去への葛藤、人生観、社会への視線、そして不器用ながらも一途な愛情といったテーマが、飾り気のないアコースティックサウンドに乗せてストレートに表現されており、当時の成田昭次の等身大の姿が色濃く反映されたライブ・ドキュメントとも言える作品となっている。ライブでは「クリスタルエンジェル」が男也(後のSnagメンバー)とのデュオで披露されることもあった。
ライブ・パフォーマンス
本作のリリースに伴い、同名のツアー「Welcome my Room」が2006年11月下旬に大阪、名古屋、東京(shibuya eggman)で開催された。ライブでは本作収録曲である「Pain」「Experience」「Black List」「クリスタル・エンジェル」などが披露された。特に「クリスタル・エンジェル」は、ライブレポート4によると、ギタリストの男也(Otokoya)と共に演奏されることが多かったようである。
また、本作収録曲は、後に成田が中心となって結成されたロックバンド「Snag」のライブにおいても、バンドサウンドにアレンジされ重要なレパートリーとして演奏され続けた。
販売形態
本作はインディーズレーベルからのリリースであり、主にライブ会場およびファンクラブ向けの通信販売という形で限定的に販売された²。ファンクラブ会報には、本作(商品番号 001)の通販案内が掲載されていた。
脚注・出典
- 成田昭次/Welcome My Room – Tower Records
- Welcome My Room | 成田昭次 | ORICON NEWS
- 成田昭次 – Welcome My Room(アルバム) – YouTube