2025年11月1日に放送されたニッポン放送「NOKKOのオカエリ ただいま。」に、ミュージシャンで音楽プロデューサーの寺岡呼人がゲストとして登場した。番組では、寺岡が所属するRockon Social Clubのコラボアルバム「THE SHOW MAN」で共演したNOKKOとの制作秘話や、若き日の意外なエピソードが明かされた。
寺岡呼人、NOKKOとの初対面とREBECCAへの熱い想いを語る
番組冒頭、パーソナリティのNOKKOがゲストの寺岡呼人を紹介。二人が初めて正式に会ったのは、先日行われたRockon Social Clubのビルボードライブだったと語られた。しかし、寺岡は「実は、いつか言おうと思ってたんですけど」と切り出し、NOKKOとの知られざる過去の接点を告白した。
寺岡は「僕、23、4ぐらいのときに、横浜アリーナのREBECCAを観に行ったことがありまして」と明かし、NOKKOを驚かせた。当時から「すごい大ファンだった」という寺岡は、JUN SKY WALKER(S)としてデビューしていたため、関係者として楽屋挨拶に行く機会があったという。女性アーティストのライブに行くこと自体が初めてで、どう振る舞えば良いかわからなかったと、当時の心境を振り返った。
「大学生をナンパして一緒に」寺岡が明かす横浜アリーナでの驚きのエピソード
さらに寺岡は、その横浜アリーナ公演にまつわる驚きのエピソードを詳細に語った。
「僕、花買ってったんですよ。自分で」と、NOKKOへの花束を準備して電車に乗っていた寺岡。すると、車内で大学生らしき男性から「寺岡さんですよね」と声をかけられたという。行き先を尋ねられ、「今からREBECCA行くんだ」と答えた寺岡は、その場で「一緒に行かない?」とその大学生を誘ったことを明かした。NOKKOが「うそ」と驚きの声を上げる中、寺岡は「その男の子をナンパして、その男の子と一緒に行った」と続けた。
楽屋では多くの挨拶客がいたため、花束を渡すのが精一杯で「挨拶もそこそこに、お疲れ様でしたって花渡して帰った」と、当時の緊張した様子を語った。
このエピソードには後日談があり、寺岡はその時一緒にライブへ行った大学生が、後にテレビ朝日で数々の人気番組を手掛けることになる有名プロデューサーの加地倫三氏であったことを告白。「随分彼が偉くなった後に、テレビ局で声かけられて。『覚えてますか?』『あんときのです』みたいな感じで。『あんときレベッカ行ったよね』って話になって」と、数十年越しの再会がドラマチックなものであったことを明かした。
JUN SKY WALKER(S)デビュー当時、エンジニアはNOKKOの夫・剛氏だった
寺岡とNOKKOの縁はそれだけではなかった。寺岡が所属していたJUN SKY WALKER(S)が1988年にデビューした際、そのレコーディングエンジニアを務めたのが、NOKKOの夫であるGOH HOTODA氏だったという。
寺岡は「僕が生まれて初めて見たエンジニアはHotodaさんなんです」と語り、深い繋がりを明らかにした。当時のレコーディングは、アメリカから来日したHotoda氏のもと、日本で行われたという。寺岡はHotoda氏について「当時からアメリカ人でしたね」と述べ、そのマイペースな仕事ぶりを振り返った。
レコーディング中にマイクに入ったノイズを「しょうがないですね、ははは」と笑ってそのまま盤にしたり、ニューヨークへ向かう飛行機に「なんかちょっと遅れますみたいな感じで」現れなかったりしたエピソードを披露。NOKKOが「全然変わんないですね」と応じると、寺岡は「やっぱアメリカ人だと思いながら」とその人柄を語った。37〜38年の時を経て、ビルボードライブで再会したことに「すごく不思議だな」と感慨深げに話した。
NOKKOとのコラボ楽曲『Tangerine Kiss』制作秘話を明かす
話題は、Rockon Social Clubが11月5日にリリースするコラボアルバム「THE SHOW MAN」へと移った。このアルバムで、NOKKOはRockon Social Clubとのコラボ楽曲『Tangerine Kiss』に参加している。
寺岡はこの楽曲について、「今回はですね、僕たちRockon Social ClubとNOKKOさんで1曲、コラボレーションさせていただくことになりました。精一杯NOKKOさんへのリスペクトを込めて作った曲です」と紹介。プロデューサーとしての想いを込めて制作したことを語った。
レコーディングは非常にスムーズに進み、2時間もかからずに終了したという。制作過程ではキーの調整がギリギリまで行われたが、最終的にはうまくいき、NOKKOも「あげといてよかったですよね」と手応えを口にした。
ONAIR:NOKKO & Rockon Social Club『Tangerine Kiss』

「お客としてこのライブを見たらどういうのを聴きたいか」プロデューサーとしての視点
楽曲オンエア後、寺岡は『Tangerine Kiss』の制作意図についてさらに深く語った。
「今の、じゃあ僕が今お客で、このライブを見たらどういうの聞きたいかなって思っちゃったんですよ」と、ファン目線での楽曲制作を心掛けたことを明かした。その上で、「一見、頑張って若い曲歌ってるように見えて、でも歌ってる内容は全然リアルな感じ」という楽曲のコンセプトを説明。単なる若さの表現ではなく、大人のリアリティを込めたことで、「終わった後にすごくこう、ああ、なんかすごく現役感みんなすごいみたいな感じになるような曲がいいなと思った」と、プロデューサーとしての狙いを語った。
NOKKO、楽曲から感じた80年代東京ロックシーンの記憶
この楽曲に対し、NOKKOは「いろんなものを思い出しましたね。あの、ピンナップスとかね」と、かつて活動していたバンドの名前を挙げた。さらに「渋谷屋根裏とか、そういう感じの東京ロック」の空気感を思い出したと語り、楽曲が自身のルーツを刺激するものであったことを示した。
寺岡は、自身はデビュー後に洋楽・邦楽問わず様々な音楽を聴くようになった「音楽マニア」であり、多くの音楽は後追いで知ったと語った。NOKKOは、そんな寺岡の作る音楽に対し、「私とかがこうやってここに塩を置いて、ここに祈りの場所にしようって言ったのを、寺岡さんたちが社を立てたっていう感じなのかな」と独特の表現でその世界観を称えた。
寺岡は、今回のコラボレーションにおける自身の制作アプローチを、映画制作にたとえて説明した。
「もしNOKKOさんが主演女優で、自分たち(Rockon Social Clubの世代)が監督を務める映画を撮るとしたら」という仮の話を切り出し、プロデューサーとしての視点を語った。その上で、「昔からのファンが『ニヤッ』とするような、過去の作品への敬意(オマージュ)を込めつつも、初めてNOKKOさんの音楽に触れる人も楽しめる作品を目指した」と明かした。
さらに、「みんながちゃんと幸せになれるような感じっていうのを、しめしめと思いながら作って」と述べ、長年のファンと新しいリスナーの双方を意識し、楽しみながら楽曲を制作した心境を語った。
番組の最後には、改めてRockon Social Clubのコラボアルバム「THE SHOW MAN」が11月5日(水)に発売されることが告知された。若き日の熱い想いと、時を経て実現したコラボレーションの裏側が語られ、アルバムへの期待が高まる放送となった。




