男闘呼組メンバー中心非公式まとめ

5-1…非現実…

5-1…非現実…

5-1…非現実…』(ごのいち ひげんじつ)は、日本のロックバンド、男闘呼組の5枚目のスタジオ・アルバム。1992年6月21日にBMGビクター(現:ソニー・ミュージックレーベルズ)から発売された。メンバー自身が作詞・作曲の多くを手掛け、よりロック色を強めた作品であり、3ヶ月連続アルバムリリース企画の第1弾として発表された。

概要

男闘呼組にとって5枚目のオリジナル・アルバムであり、前作『I’m Waiting 4 You』から約1年4ヶ月ぶりのリリースとなった 。本作は、続く『5-2…再認識…』、『5-3…無現実…』と合わせて、1992年に3ヶ月連続でリリースされたコンセプト・アルバム群の第1弾にあたる 。

本作の大きな特徴として、メンバー自身が作詞・作曲の大部分を手掛けている点が挙げられる 。これにより、従来のアイドル的なイメージから一線を画し、「ジャニーズ事務所の硬派」 と評される彼らの、より骨太でストレートなロックサウンドへの志向が前面に押し出された。当時のCDジャーナルのレビューでは「アイドル特有の笑顔が一瞬たりとも感じられない男っぽい曲がいっぱい」と評されている 。アルバムタイトルに含まれる「非現実」という言葉は、こうした彼らの音楽的アイデンティティの確立や、アイドルという枠組みの中で本格的なロックを追求する姿勢そのものを象徴しているとも解釈できる。

リリース当時のオリコンチャートにおける具体的な週間最高位に関する情報は、提供された資料内では確認されていないが 、バンドのディスコグラフィにおいて重要な転換点を示す作品として位置づけられる。

収録曲

  1. インディアンの丘で
    作詞・作曲:KAZUYA
  2. 終わらない魂
    作詞:KAZUYA、作曲:OTOKOGUMI
    編曲:OTOKOGUMI & ATSUSHI & HIRAPON
  3. あの娘は言う
    作詞・作曲:KENICHI、編曲:KENICHI & HIS UNIT
  4. 姿なき人気者
    作詞・作曲:KAZUYA、編曲:OTOKOGUMI
  5. やってるね
    作詞・作曲:SHOJI
  6. ふたりきりのWEDDING
    作詞・作曲:KOYO
  7. 天国の週末
    作詞:ODAKE、作曲:SHOJI
  8. みはり
    作詞:シメ中島、作曲:大矢正浩
    編曲: OTOKOGUMI & ATSUSHI & HIRAPON
    シメ中島・大矢正浩が所属していたバンド「THE HEADS」カバー曲。
  9. 無題
    作詞・作曲:KENICHI
  10. DOTOHのカスパー善でありたい
    原作:PETER HANDKE/訳:龍田八百/「KASPAR」より引用
    「KASPAR」は、ペーター・ハントケ作の戯曲「カスパー」のこと。
  11. HAPPY THOUGHTS
    作詞:ODAKE、作曲:SHOJI
  12. 眠りにつく前に
    作詞・作曲:KENICHI

備考:

  • 「やってるね」: 本作からの先行シングル「眠りにつく前に」のカップリング曲としても収録された 。作詞・作曲は成田昭次 (SHOJI) が担当 。
  • 「みはり」: 作詞を担当したシメ中島と作曲を担当した大矢正浩がかつて所属していたバンド「THE HEADS」のカバー曲 。
  • 「無題」: 後続バンドであるRockon Social Clubが2023年にリリースしたカバーアルバム『2023』にて、本楽曲がカバーされた 。このアルバムは男闘呼組時代の楽曲を現代のサウンドと歌声でセルフカバーしたもので 、当初はライブ映像作品「ROCKON SOCIAL CLUB 1988」の特典CDとして発表され、後にデジタル配信も開始された 。
  • 「DOTOHのカスパー善でありたい」: オーストリアの劇作家ペーター・ハントケの戯曲『カスパー』(原題: KASPAR、龍田八百訳)の一節を引用したトラック 。音楽ではなく、朗読や効果音などで構成されていると推測される。
  • 「眠りにつく前に」: 本作からの先行シングルカット曲 。岡本健一 (KENICHI) が作詞・作曲を手掛けた 。オリコン週間シングルチャートでは最高24位を記録した 。

 

音楽性および制作

本作の音楽性は、J-POPの枠組みにありながらも、ロック、特にハード・ロックの要素を強く打ち出している 。全編を通してギターサウンドが際立っており、エレクトリックギターのみならず、オープニングトラック「インディアンの丘で」などで聴かれるようなアコースティックギターも効果的に用いられている 。メンバー自身が楽曲制作の主導権を握ったことで 、高橋和也 (KAZUYA)、成田昭次 (SHOJI)、岡本健一 (KENICHI)、前田耕陽 (KOYO) それぞれの音楽的個性が色濃く反映された楽曲群が収録されている 。

アルバム全体のプロデュースは蛎崎広柾 (HIROMASA KAKIZAKI) が担当した 。編曲においては、バンドメンバー自身 (OTOKOGUMI) が中心となりつつも、サポートメンバーであるキーボーディストの田中厚 (ATSUSHI) やドラマーの平山牧伸 (HIRAPON) が共同でクレジットされている楽曲が多く見られる。これは、単なる演奏サポートに留まらず、楽曲のアレンジメント、すなわちサウンド構築の段階から彼らが深く関与していたことを示唆している。例えば、「終わらない魂」や「みはり」ではバンドと田中、平山の3者が編曲者として名を連ねている 。

一方で、「あの娘は言う」では岡本健一が自身のバンド「ADDICT OF THE TRIP MINDS」を指すユニット名義 (KENICHI & HIS UNIT) で編曲を手掛け、「姿なき人気者」「やってるね」「眠りにつく前に」ではバンドメンバーのみ (OTOKOGUMI) が編曲者としてクレジットされている 。このように、楽曲ごとに編曲への関与の仕方が異なる点は、アルバム制作における多様なアプローチや、特定の楽曲におけるメンバー個々の主導性を反映している可能性がある。バンドメンバーと信頼関係にあるサポートミュージシャンとの緊密な連携、そしてメンバー自身の積極的な関与によって、本作特有の cohesive(まとまりのある)でありながらダイナミックなロックサウンドが形成されたと言えるだろう。

 

参加ミュージシャン

前田耕陽 – ボーカル、キーボード
成田昭次 – ボーカル、ギター
高橋一也 – ボーカル、ベース
岡本健一 – ボーカル、ギター
江口信夫 – ドラム
平山牧伸 – ドラム
田中厚 – キーボード
本村隆充 – ドラム(#3)
KOHJI TARUI – ベース(#3)
福場潤 – ギター(#3)