2023年5月20日のTOKYO FM『KURE 5-56 Presents ROCKON TIMES』は、この日54歳になった高橋和也と、翌日が誕生日の岡本健一が担当した。50代を嬉しいと話す二人が選んだテーマはライブ。『翼をもがれた野郎ども』を聴いた後、高橋は観客の歌に涙を流してベースを弾いた群馬公演を、岡本は序盤から倒れそうなほど熱くなる舞台を振り返る。客として見た1988年のガンズ、1989年に4人で訪ねたロサンゼルスのストーンズも忘れられない。一方、自分たちの歌い分けや耳で曲を覚える練習には、30年を経て気づく難しさもある。母と初めてライブへ来た中学生の合唱の希望や、大宮の男性客の便りを受け、岡本は自分も客席にいたいと話した。ジェフ・バックリィには何度でもアンコールに出てほしいと願ったという。最後は『遥か未来の君へ』とともに、4人の誕生日と血液型の組み合わせ、次週の成田昭次・前田耕陽を紹介した。

「なんでもできるじゃん。今」54歳を祝う誕生日コンビ
「いい声ですね~、和也さん」。岡本が挨拶した高橋に声をかけると、高橋はライブ中で声がだいぶ変わってきたと話す。岡本は「渋みが増してますよね」と返した。今夜この二人なのは、高橋が5月20日、岡本が21日と誕生日が続くから。それぞれにおめでとうと言い合った。
翌21日に岡本が誕生日を迎えると、4人とも54歳になる。岡本は「54(こーよー)」だと、前田の名前に数字を重ねた。前週の成田と岡本の回でも、成田の誕生日までは4人が同い年になると話したばかりだった。
54歳をどんなふうに想像していたかと聞かれると、高橋は、想像はできなかったが、なってみれば嬉しいと答えた。「50代うれしいよね」と岡本も言い、高橋がその理由を話す。
和也なんでもできるじゃん。今。元気だし。いろんなことも覚えたし
それでも、この年齢でこれほどライブをし、ロックをやっている姿までは思い描いていなかった。「理想ではあったけどね」と岡本。高橋は、Zepp Nambaの公演を終えたばかりだと挨拶した。
Rockon Social Clubはいったんここでツアーを終える、と高橋が話すと、岡本は「終了なの?またあるの?ある?」と確かめる。高橋がまたやると答え、岡本は楽しみだと応じた。バンドがどんな音を鳴らしているか、まずは一曲。アルバム『1988』から、岡本が『翼をもがれた野郎ども』を紹介した。
ONAIR:Rockon Social Club『翼をもがれた野郎ども』
「泣きながらベース弾いたね」客席の歌に動かされる二人
二人は同時に、男闘呼組の『2023 THE LAST LIVE』でも全国を回っていた。高橋は8月25日の日本武道館まで続くと案内する。ホールを中心にした公演で毎回新しい感動が生まれる、と岡本が話すと、高橋は、いろいろな思いを持つファンと自分たちの気持ちが混ざり合うのだと答えた。


岡本自身は、序盤の2曲目、3曲目から倒れるのではないかと思うほどになるという。くらくらする感覚を酸欠状態だと表現し、それでも、ここを乗り切ればと思っていると乗り切れると語った。



そうならないように『今日は冷静に行こう』と思うんだけど、始まっちゃうとダメだよね
観客にも、叫ぶ、笑うといった反応がある。二人は、いつもの状態ではないほど感情が動くことを話す。「あんなに泣くか?なんで泣いちゃうんだ?」という岡本に、高橋が直近の公演を思い出した。



この間も群馬のラストなんか、みんながうたったら感極まっちゃって、泣けてきちゃってさ。泣きながらベース弾いたね
群馬のベイシア文化ホールでは5月14日に昼夜2公演があった。高橋の記憶にあるのは、そこで観客の歌を受けながら弾いたベース。岡本は、会場に行かなければ味わえない感動があると話し、自分たちも一緒にいろいろなライブへ行っていたと、高橋に問いかけた。
「投げているタバコが欲しくなっちゃう」1988年のガンズ
高橋がまず挙げたのは、ガンズ・アンド・ローゼズの1988年の公演。会場は中野サンプラザだった。成田昭次と高橋と一緒に、手すりにつかまって話していた、と岡本も思い出した。会場では開演が1時間ほど遅れていたという。


やがて暗闇の中に、革ジャン姿のメンバーが影になって現れた。岡本は小さな赤い光を見つけ、何かと思うと、スラッシュがくわえるたばこだった。高橋は、そのたばこを客席へ投げる姿も覚えていた。



しかもその投げているタバコが欲しくなっちゃうんだよね。おかしいよね



『悪い』って感じのライブで。あれは忘れられないです
成田も自叙伝で、1988年12月に岡本に誘われてガンズの初来日公演を見た時のことを書いている。簡素な機材からスラッシュが出す音は、成田にとって人生でいちばんの衝撃だったという。この回の二人も、音と姿、待っている間のことまで思い出しながら、『It’s So Easy』を選んだ。
ONAIR:Guns N’ Roses『It’s So Easy』
曲明けには岡本が「俺らあの人たちに相当影響受けちゃったね」。高橋も、ファッション、生活、お酒まで影響は大きかったと話した。ジャックダニエル、ウエスタンブーツ、タトゥーと、思い出すものが続く。岡本は、成田がスラッシュになりたかったと、この間も言っていたと紹介した。
「ステージが5倍くらいになった」4人で飛んだロサンゼルス
もう一つ忘れられないのが、4人そろって見に行った1989年のロサンゼルス公演だ。会場は、成田が後の放送でLAコロシアムと呼んだ場所。高橋によれば、ローリング・ストーンズはそれまで一度も来日しておらず、自分たちも初めて見るライブだった。前座はリヴィングカラーとガンズ。この組み合わせはロサンゼルスしかない、絶対にここで見た方がいいと思ったという。


1989年12月の男闘呼組ファンクラブ会報第7号でも、この旅行を4人が振り返っている。前田によれば、夏のツアー中に見に行こうという話になり、4人でのプライベートの旅行は初めてだった。高橋は、起きたい時に起き、食べたいものを食べ、好きな場所へ行ける男闘呼組だけの時間が、帰りたくないほど楽しかったと話していた。


この日の二人が話したのは、遠い客席から見た舞台だった。スタンドの上の方の席で、高橋にはボーカルのミック・ジャガーやギターのキース・リチャーズが豆のように見え、岡本にはステージがスマートフォンほどの大きさに見えたという。ガンズが出ると二人は盛り上がり、だんだん辺りが暗くなって、ストーンズを待つ。



もう少しでストーンズが始まるってなったら、ステージが5倍くらいになったじゃない?
高橋も、照明で一気に大きく見えたと振り返った。メインで出るバンドの舞台はこんなにすごいのか、と驚いたという。
岡本は『Ruby Tuesday』で涙が出た記憶も語った。「日本に来るってわかっていたら行かなかったよね」という岡本の言葉にも、高橋が説明した、まだ日本で見られなかったバンドを追いかけた旅の事情がある。それでも高橋は、とにかく興奮した、見てよかったと言い、岡本も「行って良かった」と重ねた。
会報での前田も、本当はいちばん見たかったガンズが、続くストーンズを見ると吹き飛んだ、と話していた。セットや構成、客席の雰囲気まで驚き、帰国してからレコードを買ったという。
「司会かよ」歌うパートも変わる二つのバンド
話を自分たちへ戻すと、高橋が取り上げたのは5月6日の単独ライブ。東京ガーデンシアターで、配信も行った。直前の4日と5日は、同じ会場で男闘呼組の『2023 THE LAST LIVE』。ところが、Rockon Social Clubでは演奏する曲も編成も変わる。寺岡呼人が加わり、女性の管楽器奏者も参加するライブだった。
男闘呼組の曲を新しいバンドで歌う時には、歌うパートも入れ替えていた。高橋が歌っていた箇所を岡本、成田、前田耕陽が受け持つこともある。高橋が「あれが混乱するんだよね」と言うと、岡本も「混乱する」。歌をどう分けるかまで組み直す演奏だった。
一方、トークでは高橋が先頭に立つ。岡本の友人からは、中央にいる司会の人がすごいと言われたこともあるという。



俺の友達とか、『あの真ん中の司会の人すごいね』って



司会かよ
昔から「おーい、みんな元気かー?」と先に声を出すことが多かった、と高橋は振り返る。やりたいのではないかと岡本に聞かれ、高橋は自分が客席をあおり、盛り上げたい気持ちだと説明した。ところが岡本は「一番自分が盛り上がっちゃってるけどね」。高橋も笑って認め、岡本は、そんな高橋のMCも聴きものだと話した。
「その場で演奏するタイプのミュージシャンじゃない」合唱の希望から、耳で作る音楽へ
初めてきちんと便りを読めるのでは、と岡本が話し、母親と5月5日の男闘呼組、6日のRockon Social Clubを見た中学生からのメッセージを紹介した。どんなものだろうと思っていた初めてのライブは、両日とも楽しかったという。そして『遥か未来の君へ』をクラスのみんなと合唱祭で歌いたくなり、ピアノとソプラノ、アルトの楽譜を作ってもらえないか、と尋ねていた。
「学校で歌いたいんだ。いいですね」と高橋。岡本も「歌ってくださいよ」と言うが、自分は譜面を書けないと続け、前田やデビンにお願いしたらどうかと提案した。 デビンは、男闘呼組や成田商事のライブを支えるキーボード奏者だ。そこから高橋は譜面を読まないのか、という質問になる。
高橋は、読もうと思えば読めると答え、その場で譜面を見てすぐ演奏するタイプではない、と自分たちの方法を説明した。



何度も演奏してリハーサルを重ねて、耳コピしながら間違っているとこを直しながら、スタジオでセッションしながら作り上げていくじゃない
※耳コピは、音を聴き取って、楽器などで同じように演奏して覚えること。ここでは二人が、録音を聴き、何度も合わせて直す練習として説明している。
そうやって作るから時間がかかる、と高橋。その練習で今回よくあった出来事を、岡本が話し始めた。
30年前の曲を演奏していると、今になって前田からコードが違うと指摘される。「今まで違うところ押さえてたのって」と岡本は笑う。短い音の並びを繰り返すリフも多く、半音違うと高橋に声がかかり、そうだったのか、と分かることもあるという。
高橋は、昔は録音を耳で聴いて覚え、音が一つずつ分かれて聴こえるわけでもなかったと話す。岡本も、そのころはカセットを何度も巻き戻していたと思い出す。よく分からないまま、これでいいと弾いていた部分を指摘され、成田と3人で合わせて確かめ直した。高橋によれば、「だいたい昭次があってたけどね」。
「パラダイスだよね」親子も男性も歌う、今の客席
次の便りは、大宮の最前列で一人で見たという男性から。セクシーなステージに夢中になり、自分の太い声に岡本が応じてくれたことへの感謝をつづっていた。岡本は、その人が最前列から、男闘呼組は永遠だと声をかけていたことを覚えていた。高橋も若かったと話した。
大宮公演は5月12日、大宮ソニックシティで昼夜2回開かれた。二人は、今回のツアーには男性が本当に多いと話す。歌い、拳を上げる客席を思い出し、岡本は「最高だよね。俺もお客さんで行きたいもん」。高橋は「パラダイスだよね」と応じた。
先ほどの中学生の便りにも、二人はもう一度触れた。初めてのライブが男闘呼組とRockon Social Clubという親子を、岡本はおませさんだと呼び、高橋は、これからどんな素敵な女の子になるのだろうと話した。
「お願いだから!もう一回聞かせて!」岡本健一が待ったアンコール
高橋に、自分が見たライブについて話すよう促された岡本は、ジェフ・バックリィを挙げた。『グレース』が本当にかっこよく、ロックでありながら何オクターブも出る声を持つ、とその歌い手を説明した。



行ったら、あまりにも演奏とかバンドのグルーブとか声がすごくてずっと聞きたくなっちゃう。アンコール終わって引っ込んでからも『もう一回出てきてほしい、お願いだから!もう一回聞かせて!』みたいな。出てくると『ありがとう』っていう気持ちが芽生えるというか、本当に良いライブで好きだったんだけど
※グルーブは、リズムの流れや音の重なりから生まれる、体が動きたくなるような演奏の感覚。岡本が引かれたのは、声の広がりとともに、バンド全体が作るそのうねりだった。
岡本の回想は、そのライブから何年か後のニューヨークへ移る。タクシーに乗った時、「Jeff Buckley MISSING」という文字を見た。行方不明らしいと聞いても、デマということもある、と話していたという。それから数日後、川で流されたことが本当だったと知った、と岡本は語った。もう一度と願ったアンコールの記憶に続き、歌い手を失った時のことを振り返ってから、『So Real』を紹介した。
ONAIR:Jeff Buckley『So Real』
「俺もやってないんだ」二人で呼びかけるツイッター
『遥か未来の君へ』を聴きながら、第3回も終わりへ。岡本には、高橋と寺岡の初回が大人の番組に思えたのに、成田と自分の前週は、ただ楽しい番組だったように思えたという。今回は誕生日コンビでの放送になった。
ONAIR:Rockon Social Club『遥か未来の君へ』
二人は5月生まれでO型。成田と前田は8月生まれでA型で、1歳上と、きれいに二組に分かれる。成田は8月1日、前田は16日と岡本が挙げ、来週はそのお兄さんたち、成田と前田が担当すると予告した。
番組へのメッセージを募り、ツイッターの案内に進んだところで、高橋が告白した。



ツイッターね、俺ごめん、やってないんだ



俺もやってないんだ
それでも番組への投稿は待っている。高橋はアカウントとハッシュタグを紹介し、いろいろつぶやいてほしいと呼びかけた。二人は来週も同じ時間に、と挨拶して番組を終えた。
















