「ANGEL」(エンジェル)は、男闘呼組の6枚目のシングル。1991年1月17日にBMGビクターから発売された。表題曲、カップリング曲共に初のメンバーによる自作曲であり、彼らの音楽性の転換点を示す作品。オリコンチャートで週間2位を記録し、グループにとって最後のトップ10入りシングルとなった。

ANGEL/TEARS(シングル)
アーティスト:男闘呼組
発売日:1991年1月17日
形態:8cmCD・カセットテープ (CT)
レーベル:BMGビクター
品番:BVDH-7 (CD)・BVSH-7(CT)
収録曲
音楽性と制作
本作は、表題曲「ANGEL」、カップリング曲「TEARS」共に初めてメンバー自身が作詞・作曲(共作含む)を手掛けたシングルであり、彼らが本格的に自作曲路線へ移行するきっかけとなった。
「ANGEL」は、高橋一也が作詞、高橋と成田昭次が作曲を担当したミディアム・バラード。厭世観や死への誘惑といった重いテーマを扱いながらも、「天使の白」が象徴する危うさが印象的な楽曲と評されている。歌詞には、奇跡のない街への絶望感、孤独感、そして苦しみのない「君(ANGEL)の住む所」への逃避願望が描かれており、救いを求める切実な叫びが表現されている。美しいシンセサイザーの音色と、成田昭次の持つハスキーで切なさを帯びたボーカルが、楽曲の持つロマンチックでありながらも痛切な世界観を際立たせている。
「TEARS」は、成田昭次が作曲し、作詞は小竹正人と成田が共作した。失われた愛への渇望と孤独感を歌った楽曲。歌詞では、過ぎ去った夜の記憶、壊れた心、相手に触れた指先の感覚といった具体的な描写を通じて、失恋の痛みが表現される。「Love me again tonight」「Hold me again tonight」という繰り返されるフレーズは、過去への強い執着と、相手を取り戻したいという切ない願いを強調している。愛した人が自分の元から消えていくことへの無力感と、それでもなお相手を強く求める感情が描かれている。
両曲とも、男闘呼組に加え、サポートメンバーとして江口信夫(ドラムス)、田中厚(キーボード)がレコーディングに参加している。
アルバム『I’m Waiting 4 You』にも両曲は収録されており、このアルバム全体を通して、従来のアイドル路線とは一線を画す、ハードなサウンドとメンバー自身による内省的な歌詞が特徴となっている。
本作の発売は湾岸戦争(1991年1月)の勃発時期と重なっていた。後年、岡本健一がラジオ番組で語ったところによると、当時の音楽番組『夜のヒットスタジオ』に出演した際、世相に影響を受けやすく、ニュース性のある事柄を直接歌詞に取り入れていたため、岡本が「ANGEL」の歌詞の一部「夜の街のネオン」を「イラクの夜の街」と変えて歌ったことがあったという(2021年3月放送のラジオ番組『TOKIO WALKER』での松岡昌宏(TOKIO)との対談より)1。
「2023」セルフカバー
2023年に、男闘呼組のメンバー(成田昭次、高橋和也、岡本健一、前田耕陽)が中心となって結成したバンド「Rockon Social Club」が、セルフカバーアルバム『2023』で本楽曲をカバーしている。このアルバムは、男闘呼組時代の自作曲を中心に構成されており、「ANGEL」も新たなアレンジで収録された。
