2025年8月2日、ニッポン放送で放送されたラジオ番組『KURE オキーフ Presents 成田昭次のRockon The Knight』。パーソナリティを務める成田昭次が、前日に迎えた自身の57歳の誕生日と、自身が率いるバンドNARITA THOMAS SIMPSON(以下、NTS)のツアーファイナルを終えた直後の心境を赤裸々に語った。ファンへの感謝、盟友との絆、そして自身の音楽ルーツに触れたこの日の放送は、さながら成田昭次の「今」を映し出すドキュメンタリーのようであった。猛暑が続く8月の始まりに、彼の誠実な言葉と音楽が、ラジオを通じて多くのリスナーの心に届けられた。
ツアーファイナルを終え、57歳の誕生日を迎えた感謝
番組冒頭、成田は「8月入りましたね。真夏、猛暑、酷暑」と季節の話題から穏やかに語り始めた。そして、前日の8月1日に行われたNTSのツアーファイナルが無事に終了したことを報告。その日は偶然にも自身の57歳の誕生日であったことに触れ、感謝の気持ちをあふれさせた。
「いやあ、もう本当たくさんの、え、NARITA THOMAS SIMPSONのファンの皆様が応援に駆けつけてくれて、お祝いに駆けつけてくれて、本当にうれしかったです。ありがとうございます。え、無事57歳を迎えることができました」
約半年ぶりとなった今回のツアーは6月末から始まり、横浜BUNTAIでのファイナルまで約2ヶ月間にわたって行われた。彼は、ステージに立つごとにファンからの愛情を強く感じていたと振り返る。「どのステージもね、もう皆さんのそのやっぱり笑顔とその、なんだろうな、愛あふれる気持ちがね、どんどん僕たちライブやるごとにですね、すごく感じながらですね、やっとですね、無事ファイナルをやり遂げたと、やり遂げることができたと思います。本当にありがとうございました」。その言葉には、ツアーを完走した達成感と、支えてくれたファンへの深い感謝が込められていた。そして、ツアーでの熱気をそのまま届けるように、番組のオープニングナンバーとしてNTSの楽曲を選んだ。

ONAIR:NARITA THOMAS SIMPSON『ギラギラ』

ビルボード史上最多公演と「人生で初めて」の誕生日ライブへの感慨
この日の放送は「成田昭次バースデースペシャル」と題され、リスナーと1対1で向き合う形で進行した。成田は、NTSのツアー「夏越の大祓 2025」が、東京、横浜、大阪のビルボードライブで合計20公演という、ビルボード史上最多公演記録を樹立した快挙であったことを明かした。

この収録時点ではまだツアーの途中であったが、彼はファイナル公演となる横浜BUNTAIでのステージに特別な思いを寄せていた。なぜなら、自身の誕生日当日にライブを行うのは、長いキャリアの中でも「おそらくですよ、当日ライブって僕初めてなんですよね」と語るほど、稀有な経験だったからだ。
実は3年前のコロナ禍の最中にも、8月1日にビルボードでのバースデーライブが予定されていた。しかし、彼自身が新型コロナウイルスに罹患し、公演は中止を余儀なくされたという過去があった。「その日がライブを開催することができなかったんですよね」。その悔しさを乗り越え、2025年の同じ日に、同じ場所ではないが、横浜BUNTAIという大きなステージで誕生日を迎えられることになった。彼はこれを「リベンジとは言わないですけど」と前置きしつつも、感慨深げにその喜びを語った。
「自分の誕生日に、ちょっと恥ずかしいんですけど、でもライブをね、皆さんと同じ空間で、やっぱり僕たちも演奏できて、そこにお皆さんが応援に駆けつけてくれた、これはもう人生の中で、もう2度、どうですかね、今後ね、またね、あの、タイミングが合えばですけど、でも本当にこんなにあの、素敵な、え、バースデーライブをね、この横浜BUNTAIで開催することができて、本当に幸せです」。ファンと共に過ごす誕生日の特別なひとときへの感謝と幸福感が、その声色から強く伝わってきた。
前田耕陽のゲスト出演を振り返り、見せた笑顔
番組には、ツアーを振り返るファンからのメールが多数寄せられた。その中の一通、ラジオネーム「おかめぐさん」からのメールは、ビルボード大阪公演での出来事に触れていた。この公演には、男闘呼組、そしてRockon Social Club(以下、RSC)で活動を共にするメンバー前田耕陽がゲストとして登場した。

「耕陽先生のゲスト登場で空気感がいっぺんしましたね。(中略)まるで、お笑い芸人さんか、はたまたローカルテレビのMCさんか。あのサービス精神には本当脱帽です。昭次君のうれしそうな笑顔も忘れられません」というリスナーからのメッセージに、成田は当時を思い出し、楽しそうに応えた。
「いや、でもすごかったですね。本当にあのテンション」。彼は、ビルボード東京公演にゲスト出演した岡本健一の名前も挙げつつ、特に大阪に15年ほど移住している前田の変貌ぶり(?)について「すっかりもう、でも本当にあの、吉本の方かと思うぐらいな、もう、MCもそうだし、立ち振る舞いもそうなんですけど」と、親しみを込めて表現した。「いや、でも本当うれしかったですね」という言葉からは、ステージ上で見せた盟友の姿を心から楽しんでいた様子がうかがえる。リスナーが心配していた前田の膝についても「ぴょんぴょんしすぎて、楽屋にね、戻ってきた時に結構あの、疲れて、ハアハアぜえぜえはされてましたけど、膝の方はね、大丈夫だと思います」と、優しいフォローを忘れなかった。

20代の頃にアメリカでクイーンエリザベス号を見た
番組では、誕生日ライブに寄せるファンからの温かいメッセージも紹介された。神奈川県のラジオネーム「ゆうこさん」からは、成田の誕生日ライブ当日の8月1日に、会場近くの横浜港で新しい豪華客船『飛鳥III』と先代の『飛鳥II』が揃って停泊するという、偶然の祝福のような出来事が伝えられた。これに対し成田は「いやあ、これ見たいですよね」と興奮気味に反応。自身も20代の頃にアメリカでクイーンエリザベス号を見た思い出を語り、「本当ホテルがそのまま海に浮いてるぐらいのイメージだった」とその迫力を懐かしんだ。
そして、京都市のラジオネーム「ひろろこさん」からのメールは、成田の心を深く揺さぶったようだった。彼女は中学2年生の時から30数年間、毎年8月1日の成田の誕生日には、お気に入りの服を着て部屋を掃除し、心を落ち着かせて彼の誕生日を祝うという、ささやかで純粋な儀式を続けてきたという。「それが2025年8月1日からは中2の時から30数年の時を経て、BUNTAIで一緒に昭次君のお祝いができるなんて、こんな幸せなことはないです。当時の自分に言いたいです。30年後一緒にお祝いできるよって」。
この長年にわたる一途な思いに、成田は「いやあ、ありがとうございます。8月1日、毎年、ねえ、そんなに気にしてくださったんですね。いやあ、うれしいです」と、しみじみと感謝の言葉を述べた。ファンの存在が、彼の活動の大きな支えとなっていることを改めて感じさせる、心温まるやり取りだった。
かき氷好きな味は「あずき」や「イチゴミルク」
番組後半では、リスナーからの質問に答える形で、成田のプライベートな一面が明かされた。
ラジオネーム「みほさん」からの「マーシャルビールをご存じでしたか?」という質問をきっかけに、ビールの好みが話題に。ギターアンプで有名なマーシャルのビールが存在することに「ええ、マーシャルのビールあるんすか」と驚きつつ、写真を見て「かっこいっすね、これ」と興味津々の様子を見せた。
自身のビールの好みについては、かつてはアルコール度数が高めのクラフトビールを好んでいたこと、そして特に「コンスターチを使用してないビールにこだわりが結構あったんですよね」という、通な一面を明かした。具体的には「エビスとかプレミアムモルツ、でも唯一その、キリンの一番搾りもですね、あの、入ってないんですよ。コンスターチが」と、銘柄を挙げて解説。しかし最近は飲酒量が減り、「缶ビール、大きいの1本と小さいの1本がちょっと限界なぐらいですかね」と、微笑ましい変化も告白した。
続いて、睡眠に関する質問には「基本は横向きが多いすかね。左が下になりますね」と回答。腰痛持ちには横向きが良いと聞く一方で、同じ方向ばかりだと肩を痛めがちになるため、左右交互に寝るのが理想だと語るなど、健康への意識の高さも覗かせた。
さらに、かき氷の話題では、子供の頃の懐かしい記憶が蘇った。「小学生、子供の頃から駄菓子屋さんの、あの、大きな機械で」作られるかき氷の思い出を語り、リアカーで運ばれてくる氷屋さんの大きな氷が格別においしかったと懐かしんだ。好きな味は「あずき」や「イチゴミルク」といった定番を挙げつつ、リスナーが推薦する「トウモロコシのかき氷」には「初めて」と驚き、添えられた写真を見て「冷製コーンポタージュスープ。なるほど」と納得。未知の味への好奇心を示した。
敬愛するオジー・オズボーンを偲び、選んだ一曲
番組の終盤、成田は自身の選曲で一曲をオンエアした。それは、彼が敬愛してやまないアーティスト、オジー・オズボーンの楽曲だった。

「つい最近ですけどね、ええ、僕の好きなオジー・オズボーンがね、ええ、あの、亡くなられたということで、オジー・オズボーンのね、曲をかけたいと思います」と、静かな口調で切り出し、追悼の意を込めて曲を紹介した。彼が選んだのは、オジーの代表的なバラードナンバー。この選曲は、彼の音楽的ルーツがハードロックやヘヴィメタルに深く根差していることを改めて示すとともに、偉大なアーティストへの敬意を表すものであった。
ONAIR:Ozzy Osbourne『Mama, I’m Coming Home』
曲が終わると、成田は「ね、本当にね、オジー・オズボーンね、本当悲しいですけど、ご冥福をお祈りいたします」と、再び追悼の言葉を述べた。
次なるステージへ「一緒に頑張りましょう」
番組のエンディングでは、自身が所属するもう一つのバンド、Rockon Social Clubの新たなツアー「KURE 5-56 presents Rockon Social Club Tour 2025 FOREVER CALLING -Still Rockin’-」の開催が告知された。9月の東京ガーデンシアター公演を皮切りに、ファイナルは12月の横浜BUNTAIまで続く。

成田は「ロックオン始まりますね」と期待をにじませ、特に11月からの公演がスタンディング形式になることに触れた。「皆さんくれぐれも足腰を鍛えて、ね。僕も足腰鍛えます。一緒に頑張りましょう」とファンに呼びかけた。その言葉は、これからもファンと同じ目線で、共にライブという空間を創り上げていきたいという彼の真摯な姿勢の表れだった。
57歳の誕生日を迎え、一つの大きなツアーを終えたばかりの成田昭次。しかし、彼の視線はすでに次なるステージへと向いている。ファンへの感謝を胸に、盟友たちと奏でる新たなロックンロールを響かせるため、彼はこれからもステージに立ち続ける。この日の放送は、そんな彼の揺るぎない決意と、人間味あふれる温かな人柄が凝縮された30分間となった。