成田昭次自叙伝『人生はとんとん』発売記念会見レポート(2026.01.24会見)

「この瞬間まで、人生の選択をすべて間違えてきた」成田昭次が語る“空白の30年”と男闘呼組の絆──自叙伝『人生はとんとん』発売記念会見詳細レポート

2026年1月15日、元「男闘呼組」であり、現在は「Rockon Social Club」「NARITA THOMAS SIMPSON」のボーカル&ギターを務める成田昭次による初の自叙伝『人生はとんとん―成田昭次自叙伝―』が集英社より発売された。これを受け、1月24日には東京都内で発売記念記者会見およびお渡し会が開催された。

本書は、成田の幼少期から男闘呼組としてのデビュー、1993年の活動休止、その後の逮捕、芸能界引退、そして2022年の奇跡的な再始動に至るまでの半生を綴ったものである。会見や各メディアのインタビューにおいて、成田は「人生の選択をすべて間違えてきた」と吐露しながらも、周囲の人々に生かされてきた感謝と、空白期間の真実について淡々と、時に笑顔を交えて語った。

「負の部分」こそを伝えたかった──執筆への覚悟

成田は本書の執筆にあたり、自身の過去について「ここまで細かく幼少期から振り返ることは初めてだった。意外と知らない自分が見えてきたり、古い記憶を辿りました」と語った1

特に注目されるのは、過去の逮捕や離婚、芸能界を離れていた時期の苦悩など、いわゆる「負の要素」についても赤裸々に記されている点だ。書籍の構成を担当したライターの水野光博氏によると、成田は第一稿を読んだ際、「もっと、“”の部分をしっかり入れたいです2とダメ出しをしたという。

その理由について成田は、「僕は事件後、ファンにも関係者にも、メンバーにすら説明と謝罪をせずに地元の名古屋に戻ったんです。もう二度とギターは弾かないと思ったこともありました」と前置きし、「これまで、多くのファンの方、関係者の方にきちんと説明と謝罪の場を設けてこなかったのが、ずっと心苦しくて。もちろん、謝罪したからといって過去の過ちが消えることも、多くの人を裏切り傷つけた事実もなくなりはしません。それでも、この本を出すと決めたからには、当時何があったのを、自分の言葉で少しでもお話しできればと思ったので3と、その動機を明かしている。

会見でも「なかなか昔から話したりするのが苦手、だからこそ文章で書く機会を与えていただけた。詳しくは本の中を読んでいただきたいです」と述べ、自身の言葉で過去と向き合う姿勢を見せた。

タイトル『人生はとんとん』に込められた二重の意味

印象的なタイトルである『人生はとんとん』には、二つの意味が込められていることが成田の口から説明された。

一つは、人生の収支についての考え方だ。成田は「人生は良いことも、悪いことも、同じ数ずつ起こる。とんとんなんだよ4という思いを込めている。

もう一つは、男闘呼組再始動直前の成田の生活拠点となっていた場所の名前である。成田は「男闘呼組を再始動するにあたって再上京した時に、音楽のリハビリもそうなんですが、新しく料理を始めてみないかということで働いていたお店の名前『とんとん』という意味もあります5と説明した。

成田は再始動までの約2年間、とんかつ屋「とんとん」の厨房に立ち、とんかつを揚げ続けていた。「飲食の仕事はまったくしたことがなかった。音楽とその仕事の2つのことを同時にこなすのは大変だったけど、修業をしながら音楽のリハビリをできたのは良かったし、修業がなかったらここまで来られなかったかもしれない6と、当時の日々を振り返った。寸暇を惜しんでギターの練習に励み、社会復帰と音楽活動の再開を同時に進めていた期間は、成田にとって不可欠な「修業」の時間であったと語られた。

アイドルでありながら「偽物」と呼ばれた闘いの日々

本書およびインタビューでは、男闘呼組としてデビューした当時の葛藤についても触れられている。1988年のデビュー当時、世間は第2次バンドブームの最中であり、アイドル事務所からデビューした彼らは、常に「偽物」というレッテルと闘っていた。

成田は当時を振り返り、「どこにいっても喧嘩が絶えなくて。でも、『これはこれでいいんだよ』って。俺たちは、“男が闘いを呼ぶグループ”だ。バンド名通りなんだ、受け止めようぜって」と、当時の心境を明かした。さらに、「空き缶投げつけられたって胸張って堂々やってる方がカッコいいじゃんって。あの頃、たとえそれが虚勢であろうと、胸張るしかなかった7と語っている。

その反骨精神の表れとして、メンバー(成田、高橋和也岡本健一)がロサンゼルスでタトゥーを入れたエピソードも紹介された。会見でその話題を振られた成田は、「若気の至りです。早いのかちょっと分かりませんが。バリバリだったんですかね?」と苦笑いを浮かべながら回想した。

また、メンバー間の衝突についても言及。「仲は良かったと思いますね。でもケンカもたくさんしたし。それこそ殴り合ったこともある。高橋和也とですね、1回ありましたね」と具体的なエピソードを披露。「でもお互いが真剣だったし、本当に殴り合えたからこそ通じ合えるものがあったのかなって思う8と、当時の衝突が現在の絆に繋がっているとの認識を示した。

「本当に昭次か?」──30年を経て変化したメンバーとの距離感

1993年の活動休止から約30年の時を経て、男闘呼組は2022年に期間限定で復活を果たした。再会したメンバーとの関係性について、成田は「昔と変わらない所もあるのですが、メンバー4人で話す時も敬語になることが増えたかな」と変化を口にした。

かつては呼び捨てだった呼称も、「当時は苗字で呼び合っていたのが、今は下の名前で呼べるようになった。意識していたわけではないのです」と、自然に「健一」「和也」「耕陽」と呼び合う関係になったことを明かした。

空白の期間、成田がメンバーとメールでやり取りをする際、あまりに丁寧な敬語を使っていたため、岡本健一から「本当に昭次なのか?」と疑われたというエピソードも披露され、会場の笑いを誘った。成田は「今ようやく丸くなれたと思います9と微笑み、「今が一番仲がいいんじゃないですかね」と断言した。

本書には、岡本健一、高橋和也、前田耕陽の3名へのロングインタビューも収録されている。メンバーの反応について聞かれた成田は、「みんな喜んでくれた。特に(岡本)健一は『すごく良かった、2回泣いた』と言ってくれた10と嬉しそうに報告した。

地元・名古屋での「平凡」で過酷な日々

芸能界を引退した後、成田は地元・名古屋に戻り、ハローワークに通いながら大工、材木屋、工場などで働いていた。元アイドルという肩書きが重荷となり、何度も不採用になった経験や、職場で後ろ指をさされることもあったという。

しかし、成田はその日々を否定していない。「その日々は、芸能界に身を置いていた日々と比べれば、魅力的なイベントや、驚くような事件が起こるわけではない。ともすれば、“平凡”という一言で片付けられそうな日々を、くさすことも、嘆くこともせず、淡々と丁寧に成田は過ごした11と記事では紹介されている。

僕らが1993年に活動休止という形になったまま、再始動するまで30年かかりました。当時は言い合えなかったこと、言葉にできなかったことを本を通じて、みんながやっと分かち合えた感じですね」と語る成田にとって、この空白期間こそが、人間としての再生に必要な時間であったことが示唆されている。

「人に生かされる」──読者へのメッセージ

会見の終盤、成田は自身の人生を「波乱万丈なのは間違いない」と総括した上で、次のように語った。

幼少期からも含めて、要所要所で、やっぱり自分が『これ以上、続かないのかな?』とか、『ダメだな』って思える瞬間っていうのが、ポイント、ポイントであった。でもやっぱり、必ずそういう時に、僕は結構人に恵まれてるなと思うんですけど、応援してくれる人が必ずそばにいてくれてた12

本書の「はじめに」には、「人生とは『』が『生きる』と書くけれど、僕の場合は『』に『生かされる』が正解だ」と記されている。成田は、「諦めず、やり続けた自分でいれたってことは、すごく誇りに思いますね」と述べた。

人生はとんとん―成田昭次自叙伝― Special Movie – YouTube(成田昭次)

成田はこの自叙伝について「手前みそだが、人生のバイブルになった」と自信を覗かせ、「この本に恥じないよう、今後の人生をまっとうしていきたい13と誓った。

また、どのような人に読んでほしいかという問いに対し、「お世話になった方や応援してくださるファンの皆さん、同年代の方たちはもちろん、若い世代の人たちにもぜひ読んでいただきたい。何かチャレンジしようとしてたり、悩んでたりとか、最初の一歩が踏み出さないときに、参考にしていただけたらすごくありがたい14と呼びかけた。

この瞬間まで、人生の選択をすべて間違えてきたようにも思う」とまえがきで吐露した成田昭次。しかし、そのすべての選択と失敗、そして再生の過程が、現在の彼を形成し、多くの人々に支えられながらステージに立ち続ける原動力となっていることを、本会見での彼の言葉は裏付けていた。


脚注

  1. 元男闘呼組・成田昭次、初タトゥーは「若気の至り」 20歳回想で苦笑「バリバリだったんですかね」 | ENCOUNT ↩︎
  2. 「応援してくれる人がいたから諦めなかった」成田昭次、転落と再生の自叙伝に込めた覚悟(集英社オンライン) ↩︎
  3. 男闘呼組活動休止、芸能界引退、再始動の内幕…再生までの10年を赤裸々に語った成田昭次の素顔(集英社オンライン)p1 ↩︎
  4. 男闘呼組活動休止、芸能界引退、再始動の内幕…再生までの10年を赤裸々に語った成田昭次の素顔(集英社オンライン)p4 ↩︎
  5. 元男闘呼組・成田昭次、初タトゥーは「若気の至り」 20歳回想で苦笑「バリバリだったんですかね」 | ENCOUNT ↩︎
  6. 成田昭次、男闘呼組復活時の思い「30年空いた中あれだけのファンが」復帰前は修業の日々も – 芸能 : 日刊スポーツ ↩︎
  7. 男闘呼組・成田昭次、渾身の自叙伝『人生はとんとん―成田昭次自叙伝―』に込めた思い。「何かに挑戦することを躊躇う人の背中を押す一助になれたら」 メンズノンノウェブ | MEN’S NON-NO WEB:貼られたレッテルと闘い続けた物語 ↩︎
  8. 元男闘呼組・成田昭次「今は下の名前で呼び合う」メンバーとの関係性に変化 過去には殴り合いも(日テレNEWS NNN) ↩︎
  9. 成田昭次、男闘呼組メンバー関係性の変化語る「高橋和也と殴り合った」「今はみんな下の名前で」 – 芸能 : 日刊スポーツ ↩︎
  10. 岡本健一 「2回泣いた」成田昭次が自叙伝を発表「人生のバイブルになった」→男闘呼組メンバー「みんな喜んでくれた」(デイリースポーツ) ↩︎
  11. 男闘呼組・成田昭次、渾身の自叙伝『人生はとんとん―成田昭次自叙伝―』に込めた思い。「何かに挑戦することを躊躇う人の背中を押す一助になれたら」 メンズノンノウェブ | MEN’S NON-NO WEB:“栄光と挫折”では終わらず、再生の物語へ ↩︎
  12. 【 成田昭次 】「波乱万丈なのは間違いない」半生すべてを語った自叙伝を発売『男闘呼組』再始動までの2年間は「とんかつ屋さん」で働いていた | TBS NEWS DIG ↩︎
  13. 元男闘呼組・成田昭次 自叙伝で引退など初めて詳細振り返る「2回泣いた」メンバーも明かす(デイリースポーツ) ↩︎
  14. 元男闘呼組・成田昭次の半生振り返る自伝を発売!「当時は名字で呼び合ってたけど、今は下の名前」(週プレNEWS) ↩︎

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