2023年8月24日から期間限定配信されたYahoo!検索の特別インタビュー動画「復活からの1年 メンバーの想い」に、男闘呼組のメンバー、前田耕陽、成田昭次、高橋和也、岡本健一の4人が出演した。動画では、デビュー当時の思い出から約30年におよぶ活動休止期間、そして奇跡の再集結を果たした現在の心境、さらに未来の展望について、メンバー自身の言葉で赤裸々に語られた。本記事では、その貴重なインタビューの内容を、彼らの発言を中心に詳細にレポートする。
「1個違いという感覚がなかった」バンド仲間としての特殊な絆
番組冒頭、メンバーは10代で出会った頃の関係性について振り返った。高橋は、自身と岡本が中学生、成田と前田が高校生だった当時を回想し、「ほぼほぼその1個上、1個下っていう感覚がなく、もう同じ目線でずっと10代から一緒にいた」と語った。この特異な関係性が、男闘呼組の結束の礎となった。
高橋は、「バンドで仲間だったっていうところが、ちょっとジャニーズの中でもちょっと特殊な仲間意識を育んだ」と分析。単なる年齢の上下関係ではなく、同じバンドメンバーとして対等な立場でいたことが、彼ら独自の連帯感を生み出したとの見解を示した。
岡本健一、携帯電話がなかった時代のコミュニケーションを振り返る
再集結に至るまでの話の中で、岡本はデビュー当時のコミュニケーション手段に言及した。「その当時は本当に携帯電話とか、あのね、コンピューターとかパソコンとかもない時代だったから、要は直でこうやり取りするしかない」と述べ、現代とは全く異なる環境を振り返った。
翌日のスケジュールや集合場所といった連絡事項はすべて口頭で伝えられ、メンバー間で共有されていたという。「誰かに会いたかったら電話をして喋るとか、どこどこに行くとか、家ピンポンするとか、そういうね」と岡本が語ると、成田も「だいたいでもメッセージっつったらね、留守番電話ですよ」と同意。メンバーは留守番電話のメッセージを確認して互いの予定を把握していたと明かし、当時のアナログなコミュニケーションが、より密な関係性を築いていたことを示唆した。
岡本は、「そういうことの関係で結びついてたっていうのがあったから、もしかしたら今30年後になっても、また同じような感覚でこういられたのかな」と語り、当時の不便さが逆に現在の変わらぬ関係性につながっているのではないかと考察した。
高橋和也「中抜けがひどい」3つの時代を跨いだ活動を語る
男闘呼組の活動の特異性について、高橋は「僕ら88年デビューして93年に活動休止してるから、5年間しか実際の活動期間ってないんですよね」と説明。そして、「そっからボーンと空いていきなり令和」と、約30年という長い空白期間があったことに触れた。
この状況を、高橋は「3つの時代にまたがってはいますけども、中抜けがひどいっていう」と独特の表現で語り、スタジオの笑いを誘った。前田も「昭和から令和にタイムスリップしてきた人みたいな」と応じ、平成という時代を飛び越えてしまったかのような感覚をユーモラスに表現した。
休止期間中、メンバー間の交流はほとんどなかったという。「だからって言って『連絡取ってみよう』とかってこともあんまりなかった」と前田が明かすと、岡本は「あえて交流がなかったっていうのが良かったんじゃないかなって思いますよね」と述べ、距離を置いていたことが再集結後の新鮮な関係につながったとの考えを示した。
この関係性を、成田は「兄弟とかってそうじゃないですか。小さい時は一緒にいるんですけど、それぞれが大人になって社会人になると、なかなか会わないんですよね。それに近い感じがあった」と、兄弟の関係に例えて説明した。
「武道館に立ってる!」再集結ライブの感動と、感極まり歌えなくなった瞬間
話題は、再集結後に行われた日本武道館でのライブに移った。高橋は、「感慨深いですよね。武道館って本当に単独で僕ら初めてやらしてもらって」と、ステージに立った時の感動を語り始めた。「うわ、武道館に立ってるっていう、その光景がね。だからコンサート始まってからしばらくずっとこうやってみんなを見回してる時間があった」と、客席の隅々まで見渡していたことを明かした。
成田も、「360度みたいな感じですよね。本当にこう見渡す感じの、なんか新鮮だったよね」と、客席に囲まれたステージからの眺めが特別であったと語った。岡本は、「結構ステージ上から本当に一番後ろのまで見えるんですよね。で、みんなが騒いで喜んでるのが…」と、ファンの熱気がダイレクトに伝わってきた様子を描写した。「俺たちの音楽を聴くために、俺たちの姿を見るために、これだけの量のたちが同じ思いで来てるんだなっていう、空気っていうのは、良かったよね」と続け、会場全体が一体となった空間に深い感銘を受けたと語った。
こうした感動は、時に演奏に影響を及ぼすこともあったという。岡本は、あるライブでの出来事を振り返り、「昨日の『LONELY…』とかとかさ、途中からコーラス俺できなかったもん。あ、ダメだ」と、感極まって声が出なくなった瞬間があったことを告白した。

これを受け、高橋も「本当に今回の男闘呼組のステージって演奏しながら泣いちゃうこととかね、すごい増えましたね」と強く同意。「涙腺が弱くなった」と前田が冗談を交えつつも、「それだけ感動がね」「いろんな思い出がいっぱい詰まってそれがこう吐き出せる、なんかライブになってる」と、ステージが特別な感情表現の場になっていることを成田と岡本が明かした。成田も「やっぱりファンの人たちの想いも一緒にあるので」と付け加え、30年という時を経て再会したファンの存在が、感動をより一層大きなものにしていると語った。
成田昭次「昔より人気が…」武道館公演の盛況ぶりに驚き
武道館公演の成功を受けて、成田は「ある意味、昔より人気が…」と冗談めかして口にし、メンバーから総ツッコミを受けた。岡本も「昔こんなにできなかったですもんね」と、デビュー当時を上回るほどの熱狂ぶりに驚きを隠せない様子だった。
岡本は、「今回だって4公演も武道館でね、全然予想もつかなかった」と、再集結後の反響が想像をはるかに超えるものであったと告白。昨年、29年ぶりにテレビ出演した際のインパクトが、多くの人々の心に届いたのではないかと分析した。

「なんでだと思う?」30年の時を超えてファンが集う理由を考察
30年間活動がなかったにも関わらず、なぜこれほど多くのファンが再び集まってくれたのか。メンバーはその理由について考察を重ねた。前田は、「若い時やらしてもらって、そういうのに比べたら規模はっていう感じはしますけど、ただ30年何もしてなかったグループのためにこんなに人が集まってくれるんだっていうことに、なんか、男闘呼組ってすごかったのかな」と、改めて自分たちの存在の大きさを実感したと語った。
岡本は、「見てない人たちの方が多いと思うわけ。20代30代の人たちはリアルタイムで見れてない」と指摘。前田は、「これから見たいとかさ。要するに当時男闘呼組好きだったけど小学生だったからコンサート行かせてもらえなかったとかっていう人たちが、今この自分たちで好きに動けるようになって足運んでくれてる方っていうのも結構いると思う」と、新たなファン層の存在について言及した。
さらに成田は、「当時の僕たちのファンだった人たちも大人になられて、結婚されたりして、お子さんが生まれたりするじゃないですか。で、親子とか家族で来てくれてる人たちが結構いると思うんですよね」と語り、ファンが世代を超えて広がっていることへの喜びを示した。前田も「親子3代でっていう人もいましたもんね」と付け加え、その光景が非常に嬉しいと語った。
「50代の男が感じることを歌う」新バンド・Rockon Social Clubへの展望
男闘呼組は期間限定の再結成であり、その活動終了後、4人は「Rockon Social Club」という新たなバンドで音楽活動を続けていくことが決まっている。高橋は今後の音楽性について、「今までにいはない、なかったタイプの曲とかね。もうやっぱり50代ですから僕らも」と前置きし、「50代の男が感じる社会に対するメッセージだったり、50代の男が思うこと、大人になった男だからこそ歌える歌っていうのもどんどん増えてきてると思う」と語った。
ハードロックだけでなく、より音楽的に豊かな表現を目指していくとし、「単純にこうハードロックだけのバンドじゃなくて、もうちょっと音楽的にも豊かになっていくだろうし」と展望を述べた。活動の根底にあるのは「面白い、なんか楽しそうっていうそういう気持ちを大事にしてやっていきたい」という思いであると明かした。

成田昭次「ありのままの姿で」無理せず自然体な音楽活動へ
成田は、今後のRockon Social Clubとしてのスタンスについて、「ありのままですよね。だから今のその55と54歳のありのままをやっぱり出せていけたらいいなって思ってて」と語った。無理に若作りをしたり、背伸びをしたりするのではなく、年齢を重ねたからこそ表現できる音楽を追求していく姿勢を示した。
そして、「ある意味その10代の時始めた頃の気持ちがまたちょっと成長して、新たにこの50代の4人がね、音楽をまた新しい領域に挑戦してるっていう感じですかね」とまとめ、デビュー当時の初期衝動と、50代の円熟味が融合した新たな音楽への挑戦に意欲を見せた。
男闘呼組、ファンへ最後のメッセージ「僕らの勇姿を見てください」
インタビューの最後に、メンバーはファンに向けてメッセージを送った。男闘呼組としての活動が、8月26日の日比谷野外大音楽堂でのライブをもって終了することを改めて報告。しかし、高橋は「でもこの4人はね、その後はRockon Social Clubという新しいバンドで音楽をずっと続けていきますので」と、解散後も4人での活動が続いていくことを強調した。

男闘呼組としての最後の3公演は、ライブ配信および全国の映画館でのライブビューイングが実施されることも告知された。高橋は、「最後の3公演です。僕らの勇姿を見てください」と力強く呼びかけ、35年にわたる物語の集大成を見届けてほしいと思いを伝えた。メンバーそれぞれがファンへの感謝を述べ、インタビューは締めくくられた。伝説のバンドは一つの歴史に幕を下ろすが、彼らの新たな挑戦はこれからも続いていく。














