「TOKYOプラスティック少年」(トウキョウプラスティックしょうねん)は、男闘呼組が1993年8月21日にBMGビクター/ariolaから発売した、活動休止後の最後のシングル。
概要
1993年6月30日に活動休止を発表した男闘呼組が、その後の8月21日にリリースした事実上最後のシングルである。硬質な打ち込みビートとアコースティック・ギターを融合した実験的サウンドにラップ調ヴォーカルを乗せた表題曲と、メンバー岡本健一作の内省的ロック・バラード「見えない虚像」をカップリング。オリコン週間チャートで最高68位を記録した。BMGビクター内の「ariola」レーベルから発売された唯一のシングルでもある。
- 発売日:1993年8月21日
- レーベル:BMGビクター/ariola
- 形態:8 cm CDシングル
- 規格品番:BVDR-189
- 価格:税込993円
- オリコン最高位:週間68位
収録曲
- TOKYOプラスティック少年
作詞・作曲:ヤズカ(=高橋和也)/編曲:男闘呼組 & ゲーリー・チョビ - 見えない虚像
作詞・作曲:岡本健一/編曲:男闘呼組
音楽性と制作背景
表題曲「TOKYOプラスティック少年」
バンド初期のハードロック路線から一転し、「TOKYOプラスティック少年」は同期ドラムと歯切れの良いサンプリングにアコギを重ね、ラップ風ヴォーカルを配した攻めのサウンド。
都会的で硬質なサウンドは、当時のヒップホップやテクノロックの要素を独自に消化した実験的アプローチである。編曲に外部プロデューサーであるゲーリー・チョビを迎え、シンセサイザーやエフェクト処理を駆使した人工的で無機質な音響設計が施されている。
歌詞では、現代都市東京における若者の疎外感や人工的な環境への違和感をテーマに描かれている。冒頭の〈アナタハ ドッカラキタノカ〉というフレーズを筆頭に、カタカナ表記を多用することで、人工性や異質感を視覚的・聴覚的に表現している。また、同日発売のアルバム『ロクデナシ』収録曲「ジャニーズ A GO GO」は、本曲のバッキングトラックを別の歌詞で再構成したセルフ・オルタナティブ・バージョンである。
この曲は、都政50周年公式盤収録のアルバム版イントロを約30秒カットしてシングル化されており、放送向けに尺を調整している。
カップリング曲「見えない虚像」
岡本健一が作詞・作曲を手掛けた内省的なロックバラードである。「自由をはき違えた悲しい笑顔」など抽象的な歌詞が特徴で、実体のない理想と現実の葛藤を描く。三連符系のリズムに歪んだギターが交差し、静と動のコントラストが生み出されている。表題曲が社会的な孤独をテーマにするのに対し、本曲は個人の内面世界に焦点を当てており、シングル全体として「見えない牢獄」からの脱却と停滞という二面性を提示している。
関連リリース
- 『TOKYO 〜都政50周年記念アルバム〜』(1993年7月1日):表題曲のロング・イントロ版を収録。
- 『ロクデナシ』(1993年8月21日):B面「見えない虚像」収録。
- 『HIT COLLECTION』(1999年11月20日):表題曲のみ収録。