「呼人さんがいて俺たちがいるんですよ」岡本健一と寺岡呼人、出会いから育った『パズル』(2023.6.3放送)

2023年6月3日のTOKYO FM『KURE 5-56 Presents ROCKON TIMES』は、岡本健一と寺岡呼人が出会いをテーマに担当した。成田昭次が希望した二人は、『Rolling Thunder Baby』のギターから雷のイメージが広がった話で番組を始める。大阪の誕生日サプライズでは、負傷したふりの成田を本気で案じた岡本と、ケーキを隠す舞台裏を回想。2022年8月ごろの初対面に話が移ると、成田を誘い続けた岡本の話を聞き、『ただいま』の構想に至った理由を寺岡が明かした。『パズル』は、最初から歌詞に自分たちを感じながら、難しい演奏を練習してなじませた曲でもあった。寺岡は、伝えたい想像をメンバーが演じることで歌が現実になると考える。最後の『遥か未来の君へ』では、岡本の優しさと寺岡が作った新しい道を互いに伝えた。男闘呼組の『SONGS』出演、翌週の高橋和也・成田の組み合わせを案内し、HPの意味をめぐる冗談で結んだ。

「リフ先ですね」雷の音に始まる『Rolling Thunder Baby』

「なかなかめずらしい」と寺岡が言うと、岡本も「めずらしいですね」。この組み合わせを希望したのは、前週の成田昭次だった。寺岡が、なぜだろうと笑い、岡本は、自分たちが出会ったころのことも含め、今夜は出会いをテーマにすると説明した。

最初の曲も、出会いの歌。Rockon Social Clubのアルバム『1988』から、『Rolling Thunder Baby』を寺岡が紹介した。出会いの曲だという岡本に、寺岡は「出会いすぎちゃった。出会いすぎかもしれません」と返す。

ONAIR:Rockon Social Club『Rolling Thunder Baby』

曲明け、二人はライブでの盛り上がりを話す。最初の雷が鳴ると、客席は来るぞという反応になり、大騒ぎするという。運命の出会いという歌い出しから、歌詞と曲のどちらが先なのか、岡本が尋ねた。寺岡の答えは「リフ先ですね」。

呼人

昭次君がリフを考えて『それいただき』とかっていって。そういうのをいろいろ2小節くらい録ってたんですよ

曲を丸ごと作る前に、成田が弾くごく短い音の断片をいくつも録り、その中からよいと思ったものを寺岡が選んで広げていた。小節は、拍をいくつかまとめた音楽の区切りで、ここでは2区切りほどの長さだった。

※リフは、曲の中で繰り返す短い音の並び。ギターなどで弾き、曲の特徴になる。

そのリフから寺岡が連想したのが、AC/DCの音楽だった。「サンダーだなって」と感じ、サンダー、つまり雷の言葉から、雷が落ちるくらいの出会いを歌う曲想へ広げたという。リフと構成ができると、もうローリングサンダーだという。岡本も雷のような出会いと受け、寺岡は、出会いすぎて感電するのだと説明した。

5月13日に成田が話したのも、寺岡と好きな洋楽を話しながらリフを弾く作り方だった。この日は、選んだリフから曲と歌詞のイメージが広がる手順を、寺岡が説明した。

「心配ってさ、心配じゃない?」成田を追って舞台裏へ

続いて思い出したのは、5月20日の単独ライブ。大阪のZepp Nambaで、当日が高橋和也、翌日が岡本の誕生日だった。成田がMCのたびに二人を祝い、その裏では本人たちに内緒のサプライズも進んでいた。

仕掛けは、足を上げ、腰を振り、ジャンプでも盛り上がる『ヨッテタカッテ』で、成田が負傷したふりをするというものだった。前田耕陽が作った台本には、寺岡がジャンプを控えるよう注意するせりふもあった。寺岡は、顔に出そうだと心配していたが、会場がジャンプ禁止だったため、そのせりふはなくなったと明かした。

岡本の目には、曲の後半に成田がアンプの前でギターを抱えてうずくまったと見えた。大丈夫なのかと思っているうちに曲が終わり、成田は袖へ消え、前田が負傷したのでMCでつなごうと話す。「心配ってさ、心配じゃない?」と岡本。様子を見に行っても、スタッフは大丈夫だと止める。その時の気持ちを、岡本はこう説明した。

健一

俺は、『大丈夫じゃねえから今ここにいるんじゃねえかよ』ってとっくみあいになってる感じなのにかたくなに通してくれなくて。でも、お客さんも待ってるから俺は戻らなきゃって戻って。今度、ステージが寒くて。シースルーのスケスケの衣装が寒いなって思って上着取りに行きつつ観に行ったらまた巨漢のスタッフが胸ぐらつかんで、手を出す一歩手前だったんですよね

再び舞台へ戻っても、客席は成田を心配しているようで、前田と高橋のトークにも反応しない、と岡本は感じていた。

そこへ、ドッキリの成功を知らせるプラカードと、ギターとベースの載った大きなケーキが現れた。持ってきた成田は無事だった。高橋は腰を抜かし、舞台上に横たわっていたという。岡本は「よかったーって。ケガしてないのか」と安心した。

寺岡が後の打ち上げで聞いた楽屋も、大変だった。岡本が来るたびにケーキを隠し、ばれたかもしれないと言い合う。成田も、いつ来られても大丈夫なように横になっていたという。そこまで用意してくれたことに、岡本は嬉しくなったと話した。

祝いのキスは岡本から高橋へ、続いて成田から岡本へ。客席の大きな歓声を振り返り、岡本が、その時寺岡はどこにいたのかと尋ねる。

健一

そのとき呼人さんどこにいたんですか?全然目に入らなかったんですけど

呼人

俺はあっけにとられて

岡本は「仲良しだなって思っちゃった」と話し、出会いをテーマにした今夜の話へ戻った。

「見とれちゃうんだよ、かっこいい」以前は楽屋の紹介を遠慮した寺岡

きちんと会ったのは2022年8月ごろ。それから1年もたたないうちに、アルバムを作り、ライブをして、今は二人でラジオに出ている、と岡本は振り返った。寺岡には、それ以前にも岡本の舞台を見た経験があった。

三軒茶屋で、西田尚美に誘われて行った舞台。同じ楽屋に岡本がいたので、紹介しようかと言われたが、寺岡は恥ずかしくて遠慮したという。岡本は、それは『現代能楽集』だと答えた。観劇はしても、この時は紹介を受けて話すところまでは進まず、二人がきちんと会うのは後の食事だった。寺岡は当時も格好いいと思い、今も楽屋でメイクをする姿に見とれる、と話した。

呼人

いろんな人に言ってるの。『見とれちゃうんだよ、かっこいい』って

寺岡のジュンスカと男闘呼組は1988年にデビューしたが、当時の歌番組では一度も会っていなかったという。二人をつないだのは成田だった。2022年4月ごろから、成田のソロでベースを弾いていた寺岡に、岡本と会ったことはあるか、紹介したいと話していた。

8月にようやく都合が合う。会う1週間ほど前、岡本のところへ、寺岡と一緒にいて会いたいと言っているから会おう、と成田から電話が来た。その場で日を決め、店は寺岡に任せた。寺岡によれば、岡本は初めから親しげに「呼人くん!」と話しかけ、話しやすかったという。成田との出会いや男闘呼組への思いを聞くうちに、話は盛り上がった。

「ファンの目線では『おかえり』」初対面の食事で生まれた『ただいま』

3人で話していた時、寺岡から、ただいまというフレーズがある、と聞いたことを岡本は覚えていた。男闘呼組とファンが、ただいま、お帰りと言い合うような曲。『ただいま』の構想は、その食事で出ていた。

成田からは、前もって、男闘呼組の再始動へ粘り強く誘ってくれたのは岡本で、彼がいなければ戻る決断ができなかったかもしれないと聞いていた。会った寺岡は、その話を詳しく教えてほしいと尋ねた。初めてじっくり聞き、岡本がいなければ4人が再び集まる結果にはなっていなかっただろうと感じたという。

呼人

そういう話を聞いていたから、ファンの目線では『おかえり』って言いたいんじゃないかなってなったんですよ

そこから、こんな曲ならどうかと考え、アカペラもよいのではないかと提案した。「言ってましたね」と岡本も思い出した。

5月13日の放送で岡本は、その席で聞いた構想どおりのデモができてきた驚きを話している。今回は作った寺岡から、なぜその言葉を曲にしようと思ったかを聞いた。

「バンドって『村』なんですよ」会っていない4人へ書いた『パズル』

では『パズル』は、どんな話を聞いて書いたのか。岡本が尋ねると、寺岡は、そのころは岡本にもほかのメンバーにも、きちんとは会っていなかったと答えた。それでも自分にもバンドの経験がある。

呼人

僕もバンドをやってたし、バンド独特の感じってあるじゃないですか

健一

わからない

呼人

俺の格言。バンドって『村』なんですよ

寺岡が考えるのは、男闘呼組の村と別のバンドの村は、まったく違う社会だということ。それぞれに独自の社会がある一方で、同じバンドだからこそ分かることもある。そんな思いを持ちながら成田と話し、帰りのタクシーでパズルという言葉をメモしたという。

初めは成田のソロのライブに向けた一曲だった。録音しなくてよいから、ライブのために曲を書かせてほしいと、寺岡から申し出た。よい曲ができ、男闘呼組にもやってほしいと思っていたが、その時に成田が録音していることは知らなかったという。録音はあれでよいかと聞かれ、「え、あれ入れるんですか?」と驚いた、と振り返った。

「俺たちの曲じゃないじゃん」から、外せない一曲になるまで

岡本が『パズル』を演奏することになったのは、前年7月の『音楽の日』の選曲だった。男闘呼組のシングル以外の曲もいくつか考えていたところに、この曲が挙がる。初めは自分たちの曲ではないと思ったが、とりあえず合わせようと、前田に譜面を起こしてもらった。

ところが、譜面を見ると難しかった。初めて押さえるコードが多く、ピアノで作ったのかと思うほど、ギターを弾いていて急には出てこないような響きだったという。勉強にもなったが、演奏を自分たちのものにするには時間が要った。

※コードは、高さの違う二つ以上の音を同時に鳴らす和音のこと。

健一

一発目からすごいっていうよりも、まず自分たちのものにする、演奏するのが結構なじめなくて。何回かリハをしてくうちに『いい曲だな、これ』って

一方、成田の歌を最初に聴いた時から、歌詞には俺たちの歌だと感じていた。会ってもいない自分たちを、なぜここまで分かるのか。岡本がその想像力に驚くと、寺岡は「音楽は妄想なんですよ」と答えた。

岡本も、役者は想像を具現化するのだと話す。それとともに、音楽には技術が要り、寺岡の曲を演奏するにはコードを知っていた方がよいとも思ったという。寺岡は、知識や技術と、伝えたいものの関係を説明した。

呼人

どんなに技術があってどんなに知識があっても、何を伝えたらいいかっていうのがなかったら、誰でも知ってる理論になっちゃうじゃないですか。だからこうあってほしいっていう妄想を押し出してアウトプットしてみるみたいな。でもそれはみんなが演じてくれるから、すごいリアリティの曲になるんですけどね

寺岡は、2022年10月の『男闘呼組 1988』を4公演とも見て、そのたびに感動した。さらにRockon Social Clubで同じ舞台に立ち、横で歌う姿を見た時は泣きそうになったと明かす。岡本は、自分たちもツアーで毎回泣き、客席もそうだと話した。

健一

みんながパズルのピースになっていて、外せない曲になっています

寺岡は、曲がどんどん成長しているように感じるという。大切な曲になったから、と岡本がかけてよいか聞き、寺岡もかけようと応じた。

ONAIR:Rockon Social Club『パズル』

「あとね、安心するの、いると」互いに伝えたかったこと

『遥か未来の君へ』が流れる中、寺岡が、どうしても言いたいことがあると切り出した。岡本もあると答え、まずは寺岡から話すことにした。

ONAIR:Rockon Social Club『遥か未来の君へ』

寺岡が戻ったのは、大阪のサプライズの話だった。お客さんがいても、メンバーが心配だから様子を見に行く。岡本のその行動に感動し、今日これを言わなければと思っていたという。

呼人

これこそが、岡本健一の優しさの最たる場面でしたね

岡本が伝えたかったのは、寺岡がいなければ、今の自分たちはいないという感謝だった。男闘呼組の活動を8月で終える中で、寺岡と成田が曲を作り始め、自分たちも参加することになった。その先の道を作ってくれたという思いを、寺岡本人に受け取ってほしいと呼びかける。

健一

思ってもない新しい道しるべを作ってくれてて。もっと心に受け入れてほしいんですけど、呼人さんがいて俺たちがいるんですよ

話し足りないので、いつかまたこの二人で続きを、と寺岡。岡本は「あとね、安心するの、いると」と付け加えた。

「憧れの岡本健一から」最後のHPで寺岡が一言

次週は高橋と成田、と予告した後、6月8日夜10時からのNHK『SONGS』も案内した。男闘呼組の出演に、寺岡がゲストで加わる。岡本は、大泉洋との話にはくだらないことも大事なこともあったと振り返り、寺岡がよいことを言ってくれるので、放送でカットされていなければと話した。

大泉と岡本、高橋は、2016年のNHK大河ドラマ『真田丸』でも同じ作品に出演した。大泉は真田信幸/信之、岡本は毛利勝永、高橋は宇喜多秀家の役だった。『SONGS』の放送を知らせるBARKSの記事でも、大泉によるインタビューを交え、再始動への経緯と思いをたどると紹介されている。

最後にメッセージを募るところで、岡本は台本のHPという文字に引っかかった。ゲームでは登場人物の体力を表す数値にも使う略語だ。エネルギーがあるということか、HPが上がったと言わないか、と話し始める岡本に、寺岡は、どう考えてもホームページだと返した。

呼人

憧れの岡本健一から『HPって何』って聞きたくなかった

健一

ホームヘルパー?違うな

ホームページのメッセージフォームと、ツイッターの投稿を案内して、二人で挨拶。岡本の「おやすみなさい」で番組を終えた。

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