関容子「私の出逢ったひと」岡本健一 前編:初取材で変わった印象と、俳優としての姿勢

春陽堂書店の関容子「私の出逢ったひと」第32回は、岡本健一への初インタビューから、その俳優観と素顔を描く。2024年末、『グレイクリスマス』稽古中の岡本は、関の著書にあった会食の話を持ち出して親しく話しかけ、舞台の気難しい役から関が抱いていた不安を解いた。『蜘蛛女のキス』で共演した村井國夫を励ました回想や、ドラマ主演時の羞恥心を乗り越えた話、奈良岡朋子との共演を通じ、関は肩書きや年齢にとらわれない接し方を捉える。年明けの取材では、岡本圭人の育児に専念するため仕事を抑えたこと、早逝した母への悔いも語られた。帰りのタクシーで関の話に耳を傾ける姿まで、舞台の印象とは異なる人柄を伝えるエッセイになっている。

春陽堂書店の関容子「私の出逢ったひと」第32回は、2024年末、『グレイクリスマス』を稽古する岡本健一への初インタビューを振り返る。『蜘蛛女のキス』『嵐が丘』『リチャード三世』の気難しい役から、関は心を開いてもらえるか不安を抱いていた。しかし岡本は、関の本で読んだアラン・ドロンの会食ツアーと池部良を囲む集まりに関心を示し、笑顔で話しかける。関はその親しさを若き日の十八代目勘三郎との出会いに重ね、撮影写真も長年の知己のような笑顔になったと記す。

俳優としての姿勢は、共演者の回想からも浮かぶ。関が後に村井國夫へ聞いた話では、『蜘蛛女のキス』の役柄を恥ずかしく感じて稽古場を離れた47歳の村井を、22歳の岡本が翌日、芝居として受け止めればよいと励まして抱きしめた。岡本自身も、中学3年で約1600人のオーディションから選ばれたTBSドラマ『サーティーン・ボーイ~僕は札束中学生』を家族と見ることに気恥ずかしさを感じ、プロになるなら羞恥心をなくそうと決めたという。取材ではジャニー・喜多川の口調や、想像と異なる人物の印象を語る話も出た。

奈良岡朋子との『ラブ・レターズ』や『二人だけの芝居―クレアとフェリースー』も紹介される。後者の演出家・丹野郁弓は、大女優を前に周囲が構える中でも、岡本が奈良岡を畏れず接したことが成功につながったと評価した。関は、年齢や性別、肩書きを越えて人そのものと付き合う姿を、岡本の特徴として捉える。

岡本の希望で年明けの1月4日に続いた取材では、結婚や育児の話も語られた。出産する女性の負担を考え、その後の約1年間は育児へ専念するため仕事を抑えたという。その子が岡本圭人で、関は親しい父子関係にも触れる。入院中の母がヴァレンティノのバッグを希望し、その後早くに亡くなったことが悔いとして残るという回想もある。帰りは岡本が遠回りのタクシーで関を送り、車中では熱心な聞き手となった。舞台上の印象から始まる文章は、取材で知った俳優観と相手への接し方を描いて結ばれる。

関容子「私の出逢ったひと」岡本健一

春陽堂書店の関容子「私の出逢ったひと」第32・33回は、俳優・岡本健一の舞台上の印象と、取材や観劇を通じて知った素顔を描く前後編。2024年末の『グレイクリスマス』稽古場での初インタビューでは、関の不安を解く親しい語りかけから、羞恥心を乗り越えた俳優観、奈良岡朋子との共演、岡本圭人の育児や母への回想へと話が進む。後編は2011年の『恋人』終演後の募金・握手にさかのぼり、素顔を知ることが観劇の楽しさを変えた経験を綴る。交流は花篭ホールのトークやライブ、観劇後の会食へ広がった。年齢や肩書きを越えて人に向き合う岡本の姿と、舞台と客席をつなぐ関のまなざしを、俳優と観客の交流を含む具体的なエピソードから伝える連載である。

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