2025年11月8日に放送されたニッポン放送『NOKKOのオカエリ ただいま。』に、ミュージシャンで音楽プロデューサーの寺岡呼人がゲストとして出演した。番組では、寺岡がプロデュースを手掛けるバンド「Rockon Social Club」が2025年11月5日にリリースしたアルバム『THE SHOW MAN』の制作秘話を中心にトークが展開。豪華アーティストたちが参加したレコーディングの裏側や、寺岡自身の音楽的ルーツ、そしてJUN SKY WALKER(S)としてデビューした当時、同じ1988年にデビューしながらも全く接点がなかったという男闘呼組との意外な関係性について語った。

寺岡呼人、自身の音楽ルーツを語る「中3でRCサクセションが大好きになった」
番組冒頭、パーソナリティのNOKKOから、自身のバンド・レベッカ以外の音楽でどのような影響を受けたかを問われた寺岡は、その音楽的ルーツを明かした。
「中3の時に、RCサクセションが大好きで」と切り出した寺岡は、広島でのライブに足を運ぶほど夢中になったと語る。さらに、RCサクセションのメンバーである忌野清志郎や仲井戸麗市が影響を受けた音楽を掘り下げていったという。
「やっぱり清志郎さんとか仲井戸麗市さん、チャボさんが好きな音楽が、例えばローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)だったりとか、もっとその昔のR&Bと言っても、そのオーティス・レディング(Otis Redding)とかサム・クック(Sam Cooke)とか、その南部の古いR&Bが好きみたいなのを全部影響されて好きだったみたいな感じでしたね」
自身の音楽性の根幹には、RCサクセションを入り口とした、ブルースやソウルミュージック(R&B)が深く根付いていることを明かした。
「歌詞は世界に連れていってくれる」寺岡呼人とNOKKOが語る作詞論
話題は作詞へと移り、寺岡は自身の歌詞に対する考え方を述べた。日本語の歌詞制作と洋楽のルーツとの関連性について、直接的な影響とは異なるアプローチがあると説明した。
「そこは逆に、年齢によってもどんどん変わってきますし。やっぱり歌詞って一番世界をいろんな所に連れていけるじゃないですか。だからそういう意味では常に変化、進化じゃなくて変化することもありますし」
これに対しNOKKOも自身の作詞スタイルについて言及。「ある一定の温度でいるっていうのは、なんか大事にしてるっていうか。極寒の所に行ったらぬくもりだけど、灼熱になったらひんやりみたいな。だからちょうど中間にいると割と何でも言える」と、独自のバランス感覚について語った。
さらにNOKKOは、音楽評論家の湯川れい子から聞いた「ロックはここの目の前にあるものを切り取るっていうのがすごい大事なんだ」という言葉を紹介。寺岡も、自身の音楽的ルーツであるRCサクセションの忌野清志郎さんや仲井戸”CHABO”麗市さんから過去に受けた影響に触れ、「『規則はないんだよ』っていうようなことをなんか教えられた気がするんで、特にロックは何を歌ってもいい」と語り、ジャンルに縛られない自由な表現の重要性について二人の意見が一致した。
寺岡呼人、野村義男とのレコーディング秘話を明かす「男闘呼組の武者修行だった」
アルバム『THE SHOW MAN』の話題では、参加した豪華アーティストたちとのレコーディング秘話が次々と明かされた。ギタリストの野村義男が参加した楽曲『Still Rockinʼ』の収録について、寺岡は特別な縁があったと語る。

「野村義男さんとも今回ご一緒させていただいて。レコーディングも面白くて、成田昭次くんが立ち会ってくれたんですけど、ずっとちっちゃい頃から、10代の頃から野村さんにギターを教えてもらったと」
成田にとって野村はギターの師匠であり、セッションバーに連れて行かれては「お前、弾いてみろ」と促されるような、一種の「武者修行」を経験した間柄だったという。寺岡は、この40年近い時を経ての師弟共演に深く感動したと述べた。

「まさかこんな、もう多分40年以上経ってると思うんですけど、40年以上経って、こういったまた再会と、しかも一緒に音を出せるなんていうのは、またこれ音楽ならではの奇跡というか」
時を超えて実現した共演が、アルバムに特別な深みを与えたエピソードを披露した。
デーモン閣下の歌唱力に感動「ボーカリストとしてすごい」
続いて、デーモン閣下がボーカルを務めた楽曲『死ぬほどジュ・テーム』のレコーディングについてのエピソードが語られた。NOKKOも過去に番組で共演歴があるというデーモン閣下に対し、寺岡はプロデューサーの視点からその圧倒的な歌唱力を絶賛した。
「感動しましたね、歌入れは。本当に。あの声なんですけど、本当にその、ワンテイク、ツーツーテイク。もう3個は取らないんですよ」
レコーディングが驚くほどスムーズに進んだことを明かし、「デーさん、歌うまいから」と感嘆。さらに、「いわゆるハードロックっぽい『あー!』っていうハイトーンも出ますし。すげえ、そのボーカリストとしてのデーモンさんすごいって思っちゃいました」と、その技術と表現力に改めて敬意を表した。
ONAIR:デーモン閣下 & Rockon Social Club『死ぬほどジュ・テーム』

寺岡呼人、男闘呼組との意外な関係性を告白「デビュー当時、一度も会ったことがなかった」
Rockon Social Clubの母体である男闘呼組と、寺岡が所属するJUN SKY WALKER(S)は、共に1988年デビューの同期である。しかし寺岡は、当時両者の間には全く接点がなかったという衝撃の事実を明かした。
「男闘呼組も1988年デビューなんですけど、1回も会ったことないんですよ、実は。1回も会ったことなくて、会ったの本当にここ3年ぐらい」
その理由について、「僕らはどっちかっていうとロック畑でデビューして、向こうはどっちかっていうとアイドル畑でデビューして、全然接点がなかった」と説明。音楽シーンにおける立ち位置の違いが、同期でありながら交流のない状況を生んでいたと振り返った。全く異なる道を歩んできた両者が、30年以上の時を経て一つのバンドとして活動している現在の状況を、感慨深げに語った。
「お客さんの顔がみんな少女になる」寺岡が見た”アイドル”としての男闘呼組の力
接点がなかった男闘呼組とバンドを組むことになり、寺岡は彼らが持つ特有の力に驚かされたという。それは、ライブでの観客の反応に顕著に表れていた。
「お客さんが、まあ女性が多いんですけど、世代は同じぐらいのはずなのに、もうお客さんのね、顔がみんな少女になるんですよ、やっぱり」
この現象について寺岡は、「彼らは10代からお客さんを喜ばせる何かをずっと鍛えてる。ただ演奏するだけじゃなくて、表情かもしれないし、仕草かもしれないし。やっぱときめかせるんですよ」と分析。長年アイドルとして第一線で活動してきた彼らが持つ、観客を魅了するパフォーマンス力は、ロック畑で活動してきた自身にとって新鮮な発見だったと語った。
NOKKO、堺正章の「プンスカピン!」収録エピソードに興味津々
アルバムの1曲目を飾る『プンスカピン!』でボーカルを務めた堺正章とのエピソードも披露された。楽曲の歌詞には「怒っちゃうぞ」というフレーズがあるが、堺はレコーディングでユニークなアドリブを見せたという。

「堺さんのアドリブで『笑っちゃうぞ』って最後言ったんです。もう、すごく最高だなと思って、このまま活かさせてもらいます、みたいな感じで」
この機転の利いたパフォーマンスに、寺岡は「生きですね。本当に生きだなと思います」と感銘を受け、そのまま楽曲に採用したことを明かした。この話にNOKKOも「そういうことしそう」と笑顔で応じ、大御所アーティストの遊び心に満ちた現場の雰囲気を伝えた。
Rockon Social Club、全国ツアー中
番組の最後には、寺岡からRockon Social Clubの今後の活動について告知があった。
「11月の10日から福岡のZepp Fukuokaを皮切りに、12月24、25日の横浜BUNTAIまでツアーがありますので、ぜひ皆さん遊びに来てください」

アルバム『THE SHOW MAN』を携えての全国ツアーへの意気込みを語り、リスナーに参加を呼びかけた。NOKKOが「役者さんもいるんだから、劇にすればいいのに」と提案すると、寺岡も「時々そういう話も出てくるんですよ」と応じ、バンドの多才なメンバーによる今後のさらなる展開にも期待を寄せた。
番組のエンディングでは、NOKKOが「本当にね、楽しいアルバムに参加させていただいたなと思っていて、嬉しかったです」と今回の共演を振り返り、寺岡も改めてNOKKOの参加に感謝を述べた。同期でありながら全く異なるキャリアを歩んできたミュージシャンたちが集結した奇跡のバンド。その中心人物である寺岡の言葉からは、音楽が繋ぐ縁の面白さと、世代を超えてエンターテインメントを追求する情熱が強く感じられる放送となった。


