ADDICT OF THE TRIP MINDS の公式サイトは、2026年10月15日、アルバム『Acoustic』について、岡本健一(健一)と田中志門(志門)に音楽ライターの K子。が聞いたインタビューを、前編と後編の2回に分けて掲載しました。『Acoustic』は、ミニアルバム『PARADIGM SHIFT』以来約3年半ぶりの音源で、すでにCDになっている7曲に、男闘呼組のアルバム『5-3…無現実…(アルバム)』に入っていた「旋律」を加えた全8曲を、2人のアコースティック版で新しく録音したものです。

アルバムを作るきっかけは、2026年2月のファンクラブのイベント『relax TripS』でした。2人でアコースティックで演奏することだけを決めて、志門がアコースティック用のアレンジと譜面を作り、スタジオに入ると手応えがあり、ライヴも面白かったので、形にしてCDにしようということになったと、健一は話しています。録音はギターが3日ほど、歌が2日か3日ほど。アルバムのギターは全部志門が弾き、健一は歌に専念しました。
アレンジは『relax TripS』の時とかなり違い、そのままなのは3曲ほど。デモを作るうちに志門のアイデアが次々に出て、健一は、そのギターに合わせると今までの歌い方がまったく通じず、歌い方を変えなければならなかったといいます。寝る間際やリラックスしたい時、一人になりたい時に聴けるような作品を目指しました。ヘッドフォンで聴くと“そこ”にいるように感じられ、足音や椅子の布が擦れる音に気づく人もいるかもしれないと、志門は話しています。声の大きさや力の入れ方を合わせないとギターと歌とメロディが合わず、歌えない日は持ち帰って志門のアコギだけを聴いて練習したそうで、力を抜いた歌い方は「全っ然いけなかった」と健一は振り返り、志門は、見つけるまでが大変で、見つかると一気に進むと話しています。
選曲は、『relax TripS』の10曲(「推察の最中で」「孤独に自由に」を含む)が元で、2人でやってみて形になりそうな曲を選びました。2曲を外したのは、録音がしづらいことと、スケジュールやアレンジが間に合わなかったためで、健一は、アコースティックはお腹いっぱいにならない曲の数がいいと考えたといいます。アレンジは基本的に志門がデモを作り、健一が録りながら意見を言う形でした。オルガンや弦楽器、ピアノを入れることも考えましたが、ギターを録ってみて、ギター1本と歌だけでいいと思い、ほかの音は入れないことにしました。ハモリを入れる発見もあり、ライヴでは再現にこだわらず、またライヴ版になっていくだろうと2人は話しています。

CDは、ベルベットのような手触りの、前回のBlu-rayと同じサイズのパッケージで、色はペパーミント。健一は、かっこよさより気持ちが少し上がる感じにしたかったといい、ブルーとピンクの組み合わせが好きだと話しています。裏面のクレジットの「All tracks arranged and performed」で志門の名前を先にしたのは、基盤を作ったのは志門だという健一の考えによるものです。11月7日の『relax TripS vol.2』とは別に、2人で回るライヴについて、健一は、時間があればカフェなどでもできると話し、志門の地元の岡山にも行ってみたいと語りました。
後編では、『Acoustic』の音源を聴きながら、全8曲のエピソードを聞いています。曲順は健一が決め、1曲目は「旋律」と最初から決め、「心の中の銃」の位置や歌詞の流れも考えたといいます。「旋律」は『relax TripS』とアレンジがほぼ同じで、思ったより哀しげに始まるので、コーラスでハモリを入れたそうです。健一は、音楽を聴きながらは眠れず、つい聴き込んでしまうと話し、志門は、寝る前に聴くといつもよりテンポが速く聴こえると話しました。
「今はなき世の中」は、構成がシンプルなので毎回アレンジが変わってきた曲で、間奏やAメロ・Bメロのフレーズが変わり、ストロークで明るさが際立ちました。「ぬくもり求め」は、ギター1本で一度録ったものを使い、指の音などのノイズをあえて残し、小さめのギターに古い弦を張ったまま弾いて、その質感を出しています。「心の中の銃」の手拍子は、2人とスタッフのケンゴくんの3人。健一は、歌うよりも「しゃべる」「伝える」感覚を優先したといい、ギター1本で曲の世界を変える志門の技術をたたえ、ドラムやベースが土台を作り、色彩を加えるのはギターだと話しています。
「特別な人」では、囁くように歌う難しさを知り、人格を変えるように、女々しさや執念を出すなど、いろいろ試したそうです。志門は、囁くような歌でも歌詞の輪郭がはっきり出ると話しています。「偽り感じて」は、Aメロのコード進行が美しく、初めは歌いづらかったが、ハモると気持ちいい曲。健一は、美しすぎる世界にも暗すぎる世界にもいられないと話し、志門は、リズムの揺れや多少の不協和音をあえて残したと説明しています。途中で思いついたコーラスは、志門に許可をもらって入れました。
「幸せな日々」のイントロのメロディは、『relax TripS』の時に健一がスタジオで思いついたもので、のちに Guns N’ Roses の「Civil War」の影響だと気づいたといいます。サビは、優しい版や激しい版など何度も録り直し、健一は、革命家のような人の歌なので弱々しくは歌えないと考え、台本をもらって役を演じる感覚に近かったと話しています。最後の「この場所から」は、「幸せな日々」があってこの曲に行くという流れで、コーラスが入り、よりチルな感じになりました。11月7日の『relax TripS vol.2』は『Acoustic』の曲を中心にする予定で、健一は、新しい曲や、今録っている曲のアコースティック版もやりたいと話しています。筆者の K子。は、志門のアレンジ力とフレーズの多彩さと、大変さを「面白い」と言う健一の姿を挙げ、ADDICTを聴いたことのない人にいちばん勧めたい一枚だと結んでいます。
ADDICT OF THE TRIP MINDS の公式サイトで、インタビューの全文と写真をご覧いただけます。


