「音楽はある意味、完璧な世界なんです」演劇人・岡本健一が語る芝居との違い、「男闘呼組の4人だけだとダメだから(笑)」Rockon Social Club“6人”の奇跡(THE CHANGE 連載)【第19回/全30回】

双葉社THE CHANGEのRockon Social Clubメンバーによるリレー連載第19回は、ギター&ボーカルの岡本健一さんの4回目です。演出家ごとに違う稽古の求めと若いころの自主稽古、演出をして気づいたことと先輩の教えを伝える思い、自分の仕事を誇るということ、芝居と違って音楽は快楽だという感覚、Rockon Social Clubの6人の人間性とステージで感じる力を語っています。保

演劇人として数々の賞に輝く岡本健一は、近年、後進の指導にも力を注いでいるが、後輩への助言は、指導法やメソッドのような立派なものではないと照れる。これまで出会った演出家はすべて違うタイプで、立ち稽古の日にセリフを全部覚えてくるように言う人も、2週間は台本を持ちながらでいいという人も、とにかく自分と同じ動きをするように言う人もいる。役者は演出者の求めにすぐに対応しなければならず、自我を出している場合ではない。若いころは、悲惨な場面に自分なりの悲しい芝居を作りこみ、かたくなに守ろうとしたが、演出家に「いっさい泣かないで、明るくやってみて」と言われると、プランが崩れて全然対応できなかった。すぐに対応できるほかの役者を見て、自分の実力のなさに落ち込み、自主稽古をやりまくったという。「稽古場は打ちのめされる場所。それはいまも同じ」。再演でも時代の空気や感覚は違い、役の時代も国も名前も違うので、自我や羞恥心を取り払わないと対応できない。

少しずつ演出をするようになって、演出家の言うことを聞く大切さに改めて気づいた。演出家は芝居の全部が見えていなければならず、役者のどんな問いにもすぐに答えられなければならない。着物を着た時の所作を知らない若い役者も多く、正解を分かっていないと芝居が陳腐になる。かつては日本舞踊の師範や太刀の作法に詳しい先輩がたくさんいたが、みんな旅立ち、自分がいただいた教えをしっかり伝えなければという気持ちになる。どの作品でも自分の仕事を誇れないのは嫌で、少しでも諦めが混じったものを届ければ見る人に伝わり、とんでもない勢いで自分に跳ね返ってくるので、全精力を傾けて、客にチケット代以上のものを届けたいと話す。

一方、音楽は基本的に自分にとって快楽で、みんなの生音が聞こえた時点で空気が変わり、誰かが歌い始めるとバンドの世界に入っていく、それだけで完璧な世界だという。みんなと気持ちよく音を出すには練習が必要で、地方で舞台がある時は、ギターを持っていってホテルの部屋で練習している。Rockon Social Clubの魅力は、メンバーの人間性に尽きる。6人がまとまっているのも奇跡のようで、寺岡呼人がいなかったら1か月も持たないのではないか、男闘呼組の4人だけだとだめだと笑う。2025年のツアーの初日の東京ガーデンシアターの公演まで約1年間ほとんど会えず、みんな大活躍していたのに、しっかり合わせてくるので、余計に気合いが入るという。寺岡の曲は簡単ではなく、リハーサルには緊張感があるが、本番では「行こうぜ!」という空気に変わる瞬間があり、ものすごく解放される。客のエネルギーと、ステージの横に見える寺岡や青山英樹、奥の前田耕陽、すごいテンションで歌う高橋和也、かたくなにギターを弾く成田昭次の存在感が集まった力で、それぞれの場所で活躍する6人が集まること自体が特別で、それがRockon Social Clubの強さだと語った。

岡本健一連載

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