「プロデュースの実績もない」寺岡呼人がゆず2人の才能を託された日、流れに抗わず身を任せることで得られた成長(THE CHANGE 連載)【第28回/全30回】

双葉社THE CHANGEのRockon Social Clubメンバーによるリレー連載第28回は、プロデューサーでメンバーの寺岡呼人さんの3回目です。ソロで曲が書けなかったころに出会ったゆずのプロデュース、路上の自由さを生かした録音の工夫、2021年に突然頼まれたMISIAさんとの共演、突然やってくる流れに身を任せる考え方を語っています。

Rockon Social ClubとNARITA THOMAS SIMPSONの曲を手がけるプロデューサーで、メンバーでもある寺岡呼人は、ソロになってから何年も曲が書けずに苦しんでいたころ、大きな転機を迎えた。JUN SKY WALKER(S)のころから交流のあったプロデューサーに、横浜で路上ライブをしている面白い2人がいると誘われて見に行くと、それがゆずで、2人をプロデュースしないかと言われた。実績もなく、やってきたのはバンドの音楽でフォークではなかったので驚いたが、断らなかった。バンドに入った時と同じく、自分から動いたというより、誰かから突然与えられたことで成長してきたと感じている。定石を知らなかった自分のめちゃくちゃ加減と、若くてがむしゃらな2人がいい具合に混じり合い、いい方向に向かったのではないかという。

録音は特に工夫した。路上で自由に弾き歌ってきた2人の速さは一定ではなかったが、その自由さこそが魅力だったので、ガイドのリズム音のドンカマを使わずに歌を録った。後日、その歌に合わせてスタジオミュージシャンに演奏してもらう時は、2人の歌を何度も聴き返し、もたつく所や走る所を譜面に書き込んで渡した。自分が初めての録音で、ベースの猛特訓と緊張に押しつぶされそうになった経験から、2人には最初から録音は楽しいと思える環境を作りたかった。当時20歳の2人はある部分で自分以上に大人で、成長させてもらったのはむしろ自分のほうだったかもしれないと話す。

2021年には、『24時間テレビ』に出るMISIAのベーシストとして参加してほしいと突然頼まれ、百戦錬磨のプレイヤーたちやMISIAと新曲を録音し、テレビで一緒に演奏した。バンド出身の自分にはすごいプレッシャーだったという。突然やってくる流れに変に抗わず身を任せていると、新しい段階に入り、自分を成長させられる瞬間があると語った。

寺岡呼人

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